- 東日本

山本茜は1977年石川県金沢市生まれ。京都市立芸術大学で日本画を学び、重要無形文化財「截金」保持者・江里佐代子氏のもとで伝統的截金技法を修得しました。その後、富山ガラス造形研究所でガラス技術の研鑽を重ね、独自に「截金ガラス」という新たな表現領域を開拓しました。
仏像や仏画の装飾技法として受け継がれてきた截金を、「装飾ではなく表現の主体として空間に浮遊させたい」という思いから、透明なガラスを支持体とする独自の制作に挑戦。ガラス内部で截金が重なり合い交差する立体的な表現を実現し、「截金ガラス」は今もなお進化を続けています。
本展は、従来「截金ガラス」と称されてきた山本茜の作品を、新たに“KIRIKANE Sculpture”として発信する、美術館での初めての個展です。重量感のあるガラスを自在に操る造形力と、截金の精緻な美意識が融合して生まれる作品は、まさに「Sculpture(彫刻)」の域に達していると言えます。そうした認識のもと、工芸という既存の枠組みを超えた立体表現として作品を捉え直し、これまでの歩みを礎に新たな創作へ踏み出してもらいたいという想いを込めました。
会場では、大学生時代の模写作品から木工作品を経て、独自の表現へと発展した截金ガラス作品までを展示し、作家活動の軌跡をたどります。また、初めて手がけた截金ガラス作品から最新作までを一堂に紹介し、常に技術と表現の革新に挑み続ける創作の変遷を約60点の作品からご覧いただきます。
さらに、ライフワークとして取り組む『源氏物語』シリーズを可能な限り集め、それぞれの場面に込められた物語世界と造形表現の広がりをご紹介します。あわせて、創作の原点ともいえる工房空間を再現することで、作品が生まれる現場の息づかいや制作工程にも触れていただけます。
これまでの創作活動を集大成として振り返るとともに、KIRIKANE Sculptureという新たな表現領域の可能性を示す展覧会です。
◇ 新作《源氏物語シリーズ第十八帖「松風」―浮木舟―》お披露目
中学生の頃に出会った『源氏物語』は、山本茜の創作の原点となりました。その美しい言葉と王朝文化への憧れから京都市立芸術大学で日本画を学び、平安仏画の模写を通して截金と出会います。2010年に『源氏物語』をテーマとした最初の截金ガラス作品を発表して以降、各帖から広がる自身のイメージを形にすることをライフワークとし、全五十四帖の表現に挑み続けています。
本展覧会では、24作目となる《源氏物語シリーズ第十八帖「松風」―浮木舟―》を、新作としてご紹介いたします。
~山本茜の「松風」へ寄せた想い~
いくかへり行きかふ秋を過ぐしつつ
浮木に乗りてわれ帰るらむ
明石の御方が源氏の求めに応じて上洛する際、舟の上で詠んだ歌です。
「浮木」という言葉に、故郷を離れる明石の御方の不安な気持ちが凝縮されているようで、丸太のような、舟のような形状のガラスの中に、彼女の不安で波立つ心を折り重なる截金の波で表現しました。舟上で耳にしたであろう波の音と、故郷の明石の松と、移り住んだ大堰の松の葉ずれの音が聴こえるような作品を目指し、何度も明石の浦から大堰川(嵐山)を往復して、明石の御方の旅情に心を重ね、松や波をスケッチして截金文様に落とし込みました。15ピースのガラスを、融着して一体にするという規格外の難題に挑戦した作品です。
完成までに通算52回の窯入れと4年の歳月を費やした渾身の作を、どうぞご覧ください。
Information
開催情報
| 会期 | 2026年10月24日(土)~12月6日(日) |
|---|---|
| 会場 | そごう美術館 〒220-8510 神奈川県横浜市西区高島2-18-1 |
| 休館日 | 会期中無休 |
| 開館時間 | 10:00〜20:00(入館は閉館の30分前まで) |
| 入観料 | 一般 2,000(1,800)円 *( )内は前売、公式オンラインチケットおよび、以下をご提示の方の料金です。[クラブオン/ミレニアムカード、クラブオン/ミレニアム アプリ] |
| 電話 | 045-465-5515 |
| HP |
Organizer
主催者情報
そごう美術館
一般財団法人そごう美術館は、横浜の新しい都市づくりを目指す「みなとみらい21計画」の先駆的役割を担って、1985年9月に開店したそごう横浜店の6階にあります。
生活と文化、情報の発信基地となるべく、そごう横浜店の店内には種々の文化施設を備えました。そのなかでとりわけ、横浜・神奈川での文化施設の現状を考慮し、より地域文化に貢献すると同時に、広く世界の文化にも目を向けたいという考えから、百貨店内ではかつてない規模の本格的な美術館の開設を決定し、1985年9月20日、百貨店における博物館としては日本で初めて博物館法に基づく登録を行い(登録番号:神奈川第22号)、開館しました。
鈴木信太郎などの油彩・水彩約200点を収蔵品の中心とし、展覧会では洋画・日本画・工芸・彫刻・版画・書・写真など国内外の幅広いジャンルの芸術品を展示。企画内容としては、専門家レベルからも高い評価を得るような企画を実施しています。さらに美術講演会等を通じて、地域にとって身近な文化拠点の一つとして積極的な文化の啓発活動に努めています。
*美術館についてはこちらから
045-465-5515
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