
春の陽気に誘われて、外でお茶を楽しみたくなるころです。「野点(のだて)」は、庭先や野山など、屋外で茶を点てることを指します。決まった室内ではなく、外(野)でお茶を点てる。その場にある自然をそのまま取り込みながら一服を楽しむところに、この言葉の面白さがあります。
毛氈を一枚敷くだけでも、そこが茶の湯の空間になります。風の気配や光のやわらかさ、遠くの音までもが、そのまま一服の趣向として取り込まれます。桜の名残や、芽吹いた若葉を眺めながらいただくお茶は、いつもとは少し違った味わいに感じられるかもしれません。
野点では、茶箱を持ち出す楽しみもあります。お気に入りの茶碗や茶器を箱に収めて、外へ出かける。どこかピクニックのような気分でお茶を点て、仲間と談笑しながらお茶を楽しむ。そんな軽やかさも野点の魅力のひとつです。
四月も半ばを過ぎるころは、花の盛りが落ち着き、若葉が目立ちはじめる時期です。茶箱を持って野点に出かけてみる、そんな楽しみ方がちょうど似合うころです。
撮影:Monyu / PIXTA
参考文献
『茶の湯がわかる本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト 3級』淡交社
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