松葉ガニ(まつばがに)
例年11月6日に漁が解禁される松葉ガニ。その知らせは、山陰に冬の味覚の季節が訪れた合図です。松葉ガニとは、山陰地方などで水揚げされる雄のズワイガニのうち、脱皮後に時間がたち、甲羅が硬く、身が充実したものの呼び名。脱皮して間もない、甲羅のやわらかなものは「若松葉ガニ」などと呼んで区別されます。同じ雄のズワイガニでも、水揚げされる地域によって呼び名が異なります。福井県では「越前ガニ」、京都府丹後の間人漁港に水揚げされたものは「間人ガニ」、石川県では「加能ガニ」などと呼ばれています。
長い脚に詰まった身と、繊細な甘みが持ち味。茹でれば身の甘さが引き立ち、焼けば殻から香ばしい匂いが立ちのぼります。鍋で味わったあとは、旨みの溶け出した汁で雑炊に。
ほぐした蟹の身を白身魚のすり身などと合わせ、蒸したり茹でたりして仕立てる「蟹真薯(かにしんじょ)」も、蟹の風味を楽しむ料理です。椀種にすれば、ふんわりとした口当たりとともに蟹の旨みが広がります。

撮影:スムース / PIXTA
柚子(ゆず)
夏には青い果実を利用する柚子も、秋が深まると黄色く熟します。11月ごろから旬を迎えるのがこの「黄柚子」。明るい果皮(かひ)の色と清々しい香りが、寒い季節の料理に彩りを添えてくれます。
果汁は酢の物や鍋のたれに、皮は吸い物や煮物の香りづけに。椀の蓋を開けたとき、湯気とともにふわりと香るひとかけらの柚子も、この時季ならではの楽しみです。味噌にすりおろした皮を加えれば、田楽などに合う柚子味噌に仕上がります。

撮影:monochrome / PIXTA
百合根(ゆりね)
白い花びらが重なったような見た目の百合根。名前に「根」とありますが、食べているのはオニユリやヤマユリの球根に当たる「鱗茎(りんけい)」です。肉厚な一枚一枚は「鱗片(りんぺん)」と呼ばれ、これをはがして料理に使います。加熱するとほくほくとほどけ、穏(おだ)やかな甘みのあとに、かすかなほろ苦さが残ります。
主産地は北海道。秋から冬に出回る小さな百合根には、収穫まで数年にわたる栽培の手間がかかっています。おがくずに包まれて売られているのは、乾燥しやすく傷つきやすい鱗片を守るためでもあります。
茶碗蒸しや含め煮では、その白さとやさしい口当たりが引き立ちます。梅肉で和えれば甘みと酸味の取り合わせを、素揚げにすればほくほくした食感を楽しめる一品に。少しずつ異なる味わいを確かめたくなる、秋冬の食材です。

撮影:rogue /PIXTA
ぎんなん(銀杏)
秋に実るぎんなんは、イチョウの種子。独特の匂いをもつ外側のやわらかな部分を取り除くと、見慣れた硬い殻が現れます。食べるのは、その殻と薄皮に包まれた中の部分です。
殻を割って火を通し、薄皮をむくと現れる、つやのある実。採れる時期などによって、翡翠色から黄色まで色合いもさまざまです。もっちりした歯ごたえと、ほろ苦さを含んだ独特の風味が特徴。茶碗蒸しや炊き込みご飯に加えるほか、炒って塩を添えるだけでも、少量で季節を感じさせてくれます。
ぎんなんは、食べすぎると中毒を起こすことがあります。特に小さな子どもには食べさせないようにしましょう。

撮影:shironagasukujira /PIXTA
山芋(やまいも)
秋から冬は、山芋の収穫が進む季節。「山芋」は、ヤマノイモ科ヤマノイモ属のうち、食用にする芋類を広く指す呼び名です。長芋やいちょう芋、つくね芋、自然薯などがあり、形ばかりでなく、水分の量や粘りにも違いがあります。
みずみずしい長芋は、短冊に切ればしゃきしゃきとした歯ざわりに。粘りの強いつくね芋や自然薯は、すりおろしてとろろにすると、それぞれの持ち味がよくわかります。だしでのばしてご飯にかけたり、汁に落としたりと、食べ方によって口当たりもさまざまです。
山芋は、和菓子づくりにも使われます。すりおろした芋を生地に加える「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」もその一つ。きめ細かな生地がふっくらと蒸し上がるのを、山芋が支えています。とろろから菓子まで、同じ食材がまったく違う姿になるのも面白いところです。

撮影: COMOC Sizzle / PIXTA
参考文献
『日本を味わう 366日の旬のもの図鑑』淡交社
鳥取県「松葉がに」「ズワイガニ」
JAグループ「とれたて大百科 ユズ(柚子)」
JAグループ「とれたて大百科 ユリネ(百合根)」
ぎんなん | あいちの野菜 | あいちの園芸 | あいち産のご紹介 | JAあいち経済連
今月のやさい:やまのいも|独立行政法人 農畜産業振興機構
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