七月の旬|鱧・茗荷・芋茎・素麺・桃

七月になると、本格的な夏の暑さが訪れます。暑さで食欲が落ちやすい季節ですが、この頃に旬を迎える食材には、香りや涼やかさ、みずみずしさを感じさせるものが多く見られます。

ここでは、七月頃に旬を迎える代表的な食材を紹介します。

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鱧(はも)

鱧は夏を代表する魚のひとつで、七月には最もおいしい時季を迎えます。とくに京都では祇園祭の頃に多く食べられることから、「祭鱧(まつりはも)」とも呼ばれ、夏の味覚として親しまれてきました。

鱧は生命力の強い魚として知られています。昔は京都まで生きたまま運ぶことができた数少ない魚で、そのことから「京都の鱧は山で獲れる」という言い伝えも生まれました。

一方で、鱧は小骨が非常に多いため、細かく包丁を入れて骨を断つ「骨切り」という独特の技法が欠かせません。この技術によって、ふっくらとした身と上品な旨味を楽しむことができます。

湯引きや椀物、焼物などさまざまな料理に用いられ、その淡白な味わいと涼やかな姿は、京都の夏を象徴する味覚として今も親しまれています。

 

撮影:sihuzahu/PIXTA

 

茗荷(みょうが)

茗荷は、独特の香りとほのかな辛味が特徴の香味野菜です。七月になると旬を迎え、薬味や酢の物、吸物の吸い口など、さまざまな料理に用いられます。

食用とするのは花が開く前の花穂で、身が締まり、つやのあるものが良品とされています。刻んだ瞬間に立ちのぼる爽やかな香りは、暑さで食欲が落ちる季節にも清々しさを添えてくれます。

造りのツマや吸物の吸い口、酢漬などに用いられることが多く、料理全体を引き立てる脇役として欠かせない存在です。

 

撮影:shironagasukujira/ PIXTA

 

芋茎(ずいき)

芋茎は、里芋や蓮芋の葉柄を食用にしたもので、夏から初秋にかけて旬を迎えます。瑞々しい歯ざわりと淡い味わいが特徴で、和え物や汁の実、煮物など幅広く用いられています。

「ずいき」の名は、夢窓疎石が詠んだ

いもの葉に置く白露のたまらぬは これや随喜の涙なるらん

という歌に由来するという説があります。芋の葉にたまる露を、神仏の恵みを喜ぶ「随喜(ずいき)の涙」に見立てたことから、この名で呼ばれるようになったと伝えられています。

素朴な味わいの中にも涼やかさを感じさせる芋茎は、古くから夏の料理に季節の趣を添えてきました。

 

撮影:Nutria/PIXTA

 

素麺(そうめん)

素麺は、暑さが厳しくなる七月を代表する食べ物です。冷たい水で締めた細い麺は、のど越しがよく、夏の食卓に欠かせない存在となっています。

七月七日の七夕には、素麺を供えたり食べたりする風習があります。その由来は、平安時代の宮中で七夕に供えられていた「索餅(さくべい)」という唐菓子にあるといわれています。室町時代後半には現在のような素麺が作られるようになり、七夕に素麺を供える風習も受け継がれてきました。

江戸時代後期の『東都歳事記』にも、七夕に素麺を食べる風習が記されており、その風習は今日まで受け継がれています。

夏の茶席でも、小鯛素麺など季節感を表す一品として用いられることがあります。茶席で用いる素麺は、製造過程で使われる油の香りが落ち着いたものがよいとされ、二、三年ほど寝かせたものが好まれます。

 

撮影:shige hattori/PIXTA

 

桃(もも)

桃は七月頃から旬を迎える果実です。やわらかな産毛に包まれた果皮と、みずみずしい果肉、豊かな香りが特徴で、夏を代表する果物として親しまれています。

甘味の中にほどよい酸味があり、口に含むと果汁が広がります。冷やしてそのまま味わうほか、夏の水菓子としても親しまれています。また、その丸みを帯びた姿や淡い色合いは、主菓子の意匠にも取り入れられています。

夏の盛りを彩る桃は、見た目にも味わいにも涼やかさを感じさせる、この季節ならではの果実です。

 

撮影:shimofamy / PIXTA

 

 

参考文献

日本を味わう 366日の旬のもの図鑑』淡交社
『淡交テキスト 辻留 季節の点心をつくる』淡交社(絶版)

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