八月の旬|鱸・太刀魚・昆布・葡萄・スダチ

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鱸(すずき)

鱸は、初夏から夏にかけて旬を迎える白身魚です。身が締まり、上品な旨味を楽しめることから、夏を代表する味覚として古くから親しまれてきました。

成長に伴って名前が変わる「出世魚」としても知られ、関東ではセイゴ、フッコ、スズキ、関西ではセイゴ、ハネ、スズキなどと呼ばれます。また、「鱸」の字は、身がすすいだように白いことから「すすぎ」が転じたという説などがあり、その名の由来にもさまざまな説が伝えられています。

夏の鱸は、氷水で身を引き締めた「洗い」が代表的な食べ方です。ほどよい歯ごたえと涼やかな味わいが楽しめるほか、焼物や蒸し物などにも用いられます。島根県・宍道湖周辺では、奉書紙で包んで蒸し焼きにする「鱸の奉書焼き」が郷土料理として親しまれています。

この時期の懐石でも、向付の洗いや焼物などに用いられ、盛夏の茶席に涼やかな季節感を添える食材の一つです。

 

撮影:たれぞう/PIXTA

 

太刀魚(たちうお)

太刀魚は、夏に旬を迎える魚です。細長く銀白色に輝く美しい姿が特徴で、その姿が太刀に似ていることから「太刀魚」と名付けられました。

大きいものでは全長一・五メートルほどにもなり、海の中では頭を上にしたまま立ち泳ぎをするように泳ぐ、珍しい習性を持つことでも知られています。瀬戸内海をはじめ西日本で多く水揚げされ、とくに関西では夏の味覚として古くから親しまれてきました。

白身は淡白でありながら上品な旨味があり、小骨は多いものの気になりにくく、刺身や焼霜造り、塩焼き、煮付けなど、さまざまな料理で味わわれています。焼くことで皮の香ばしさと身のふっくらとした食感が引き立つことも、太刀魚ならではの魅力です。

一年を通して比較的味が安定している魚ですが、旬を迎える夏は脂のりと香りのバランスがよく、さっぱりとした味わいが楽しめます。銀白色に輝く美しい姿とともに、夏から初秋の食卓を彩る味覚として親しまれています。

 

撮影:セーラム/ PIXTA

 

昆布(こんぶ)

昆布は、和食に欠かせない出汁の旨味を支える海藻です。北海道を中心に広く採取され、八月は羅臼(らうす)昆布漁が最盛期を迎える季節でもあります。

昆布にはさまざまな種類があり、知床(しれとこ)周辺で採れる「羅臼昆布」、上品で澄んだだしが取れる「真昆布」、香り高い「利尻(りしり)昆布」、やわらかく煮物にも使いやすい「日高昆布」など、それぞれに異なる持ち味があります。

昆布から取れるだしは、料理の味を支えるだけでなく、素材本来の旨味を引き立ててくれます。吸物や煮物はもちろん、家庭料理から料亭まで、日本の食文化を支える大切な存在です。また、だしを取った後の昆布も、佃煮や煮物などに利用され、余すことなく食べられてきました。

暑い夏にも、昆布だしのやさしい旨味は食卓に豊かな味わいをもたらします。日本の食文化を支えてきた昆布の魅力を、改めて味わってみてはいかがでしょうか。

 

撮影:マーボー/PIXTA

 

葡萄(ぶどう)

葡萄は、晩夏から秋にかけて旬を迎える果実です。みずみずしい果肉と豊かな甘み、品種ごとに異なる香りや味わいが魅力で、この季節を代表する果物として親しまれています。

葡萄は、紀元前にはすでに中央アジアなどで栽培されていたといわれています。日本では、文治二年(1186)頃に現在の山梨県で「甲州ぶどう」が発見されたことが、本格的な栽培の始まりとされています。その後、明治時代に海外から多くの品種が伝わり、品種改良が進められたことで、日本の気候に適したさまざまな葡萄が生まれました。

近年では、皮ごと食べられる品種や大粒の高級品種も人気を集めています。また、晩夏から秋にかけては各地で葡萄狩りも行われ、採れたてならではの瑞々しい味わいを楽しむことができます。

旬を迎えた葡萄は、実りの季節を感じさせる、この時季ならではの果実です。

 

撮影:チリーズ/PIXTA

 

スダチ

スダチは、爽やかな香りとすっきりとした酸味が特徴の香酸柑橘です。徳島県を代表する特産品として知られ、焼き魚や刺身、吸物、麺類などに添えられ、料理の味わいを引き立てる名脇役として親しまれています。

万葉の昔から徳島に自生していたとされる在来の香酸柑橘で、古くは自家用を中心に栽培されてきました。豊かな香りと酸味を持つことから、「酢橘(すたちばな)」が名の由来になったともいわれています。

現在ではハウス栽培により一年を通して出荷されていますが、八月から十月頃に収穫される露地栽培のスダチが本来の旬です。露地ものは太陽の光をたっぷり浴びて育つため、香りがひときわ豊かで、爽やかな酸味が際立ちます。一方、春から夏に出回るハウスものは果汁が豊富で、まろやかな味わいが特徴です。季節による風味の違いも、スダチならではの魅力です。

旬を迎えたスダチは、爽やかな香りとともに、夏から秋へと移ろう季節を感じさせる、この時季ならではの味覚です。

 

撮影:hamahiro / PIXTA

参考文献

日本を味わう 366日の旬のもの図鑑』淡交社

※参考文献のタイトルをクリックすると、【淡交社 本のオンラインショップ】に移動します。
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