茶席の銘|十一月

十一月の茶席で用いられる茶杓の銘を、時期ごとにまとめました。

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十一月 前半

【時候】

晩秋(ばんしゅう)|秋の終わりの頃

秋たけなわ(あきたけなわ)|秋の趣が盛りとなる頃

冷まじ(すさまじ)|秋の末の身にしみる冷たさ

冬隣(ふゆどなり)|冬がすぐそこまで近づく頃

冬近し(ふゆちかし)|冬の訪れが近いこと

今朝の冬(けさのふゆ)|立冬(11月7日頃)を迎えた朝

冬立つ(ふゆたつ)|立冬(11月7日頃)となり冬が始まること

冬来る(ふゆくる)|冬が訪れること

龍田姫(たつたひめ)|秋をつかさどり山野を染める女神

 

【天文・地理】

初時雨(はつしぐれ)|秋の末から冬にかけて初めて降る時雨

露霜(つゆしも)|露が凍って霜となったもの

初霜(はつしも)|秋から冬にかけて初めて降りる霜

霧の海(きりのうみ)|海のように広がる一面の霧

霧襖(きりぶすま)|襖のように隔てる深い霧

霧の籬(きりのまがき)|籬のように立ちこめる霧

霧の帳(きりのとばり)|帳のように景色を覆う霧

霧の雫(きりのしずく)|霧が草木などに結ぶ雫

霧雨(きりさめ)|霧のように細かな雨

霧時雨(きりしぐれ)|霧のように降りかかる時雨

 

【動植物】

妻恋草(つまこいぐさ)|紅葉の異称

風持草(かぜもちぐさ)|イネ科ススキ属・荻(おぎ)の異称

風聞草(かぜききぐさ)|風の音を伝える荻(おぎ)の異称

鈴鹿(すずか)|雌(メス)の鹿

小男鹿(さおじか)|雄(オス)の鹿を親しんでいう言葉

鹿の声(しかのこえ)|秋に妻を求めて鳴く鹿の声

紅葉鳥(もみじどり)|鹿の異称

蓑虫(みのむし)|小枝や葉で作った蓑にすむ虫

末枯(うらがれ)|草木が先の方から枯れ始めること

熟み柿(うみがき)|十分に熟した柿

落柿(おちがき)|熟して木から落ちた柿

 

【暮らし・年中行事】

亥の子(いのこ)|旧暦十月の亥の日に無病息災などを願う行事

鹿笛(しかぶえ)|鹿の声をまねて吹き寄せる笛

鹿火(かひ)|田畑を荒らす鹿などを追うための火

秋耕(しゅうこう)|収穫後の秋の田畑を耕すこと

穭田(ひつじだ)|刈り取った稲の株から再び芽の出た田

芦刈(あしかり)|枯れた芦を刈り取ること

芦刈舟(あしかりぶね)|刈り取った芦を積む舟

麦蒔(むぎまき)|秋から初冬に麦の種を蒔くこと

七五三祝(しめいわい)|子どもの成長を祝う七五三の祝い

袴着(はかまぎ)|子どもが初めて袴を着ける祝い

髪置(かみおき)|幼児が髪を伸ばし始める祝い

帯解(おびとき)|付け紐をやめ帯を用い始める祝い

千歳飴(ちとせあめ)|子どもの長寿と健やかな成長を願う飴

千年飴(せんねんあめ)|長寿を願う千歳飴の別称

 

十一月 後半

【時候】

行く秋(ゆくあき)|過ぎ去ろうとする秋

秋の末(あきのすえ)|秋の終わり

秋の果(あきのはて)|秋の尽きる頃

秋の名残(あきのなごり)|過ぎゆく秋の余情

初冬(はつふゆ)|冬の初め

冬めく(ふゆめく)|冬らしい気配が感じられること

冬ざれ(ふゆざれ)|冬の草木が枯れた寂しい景色

 

【天文・地理】

木枯(こがらし)|木の葉を吹き落とす冷たく強い風

寒雲(かんうん)|冬の寒々とした雲

霜の花(しものはな)|花のように美しく結んだ霜

霜柱(しもばしら)|地面から柱状に伸びた氷

青女(せいじょ)|霜や雪を降らせるという中国の女神

霜の声(しものこえ)|霜の降りる音とも感じられる夜の静けさ

月冴え(つきさえ)|寒空の月の光が澄みわたること

 

【動植物】

散紅葉(ちりもみじ)|散りゆく紅葉、また散り敷いた紅葉

冬紅葉(ふゆもみじ)|冬になっても枝に残る紅葉

木の葉(このは)|木々の葉、ことに散りゆく葉

木の葉雨(このはあめ)|木の葉が雨のように散るさま

木の葉時雨(このはしぐれ)|木の葉が時雨のように散るさま

落葉(おちば)|木から散り落ちた葉

落葉の雨(おちばのあめ)|落葉が雨のように降りしきるさま

落葉時雨(おちばしぐれ)|落葉が時雨のように降りかかるさま

落葉風(おちばかぜ)|木の葉を散らす風

落葉時(おちばどき)|木々の葉が盛んに落ちる頃

落葉舟(おちばぶね)|水に浮かぶ落葉を舟に見立てたもの

銀杏落葉(いちょうおちば)|黄色く色づいて散った銀杏の葉

柿落葉(かきおちば)|鮮やかに色づいて散った柿の葉

吹寄(ふきよせ)|風に吹き寄せられた色とりどりの落葉

朽葉(くちば)|枯れて褐色になった葉

枯葉(かれは)|枯れて水気を失った葉

朽木(くちき)|長い時を経て朽ちた木

蘆田鶴(あしたづ)|葦の生える水辺にいる鶴

雪虫(ゆきむし)|雪のような白い綿毛をまとい漂う小さな虫

雪蛍(ゆきぼたる)|蛍になぞらえた雪虫の異称

 

【暮らし・年中行事】

開門(かいもん)|「門を開けば落葉多し」にちなむ銘

落葉掻(おちばかき)|散り積もった落葉を掻き集めること

落葉籠(おちばかご)|掻き集めた落葉を入れる籠

落葉焚(おちばたき)|集めた落葉を焚くこと

敷松葉(しきまつば)|庭の苔などを寒さから守るために敷く松葉

柴刈(しばかり)|燃料にする小枝や雑木を刈ること

柴舟(しばふね)|刈り取った柴を積んだ舟

晩鐘(ばんしょう)|夕暮れに響く鐘の音

 

十月 通し(月全体を通じて使える景物)

【時候】

千秋(せんしゅう)|千年にも及ぶ長い歳月

愛日(あいじつ)|冬の暖かな日差しを惜しみ楽しむこと

 

【天文・地理】

錦秋(きんしゅう)|紅葉が錦のように美しい秋

錦繍(きんしゅう)|錦や刺繍になぞらえる華やかな彩り

唐錦(からにしき)|美しい錦に見立てた紅葉の彩り

八入の雨(やしおのあめ)|木々の葉を幾重にも染めるように降る秋の雨

小倉山(おぐらやま)|紅葉の歌で知られる京都嵯峨の山

嵯峨野(さがの)|紅葉や秋の風情に富む京都の地

嵐山(あらしやま)|紅葉の名所として知られる京都の地

高尾(たかお)|紅葉で名高い京都の山里

手向山(たむけやま)|紅葉で名高い奈良の山

龍田川(たつたがわ)|紅葉の歌で名高い奈良の川

宇津の山(うつのやま)|『伊勢物語』に蔦や楓が描かれる歌枕

紅葉川(もみじがわ)|紅葉が映り、また流れゆく川

奥山(おくやま)|人里を遠く離れた深い山

山里(やまざと)|山あいにある静かな里

小春日和(こはるびより)|初冬の春のように穏やかな晴天

小春凪(こはるなぎ)|初冬の穏やかに凪いだ海

里時雨(さとしぐれ)|里に降り過ぎる時雨

村時雨(むらしぐれ)|村里に降る時雨

北時雨(きたしぐれ)|北風に伴って降る時雨

朝時雨(あさしぐれ)|朝に降る時雨

夕時雨(ゆうしぐれ)|夕方に降る時雨

小夜時雨(さよしぐれ)|夜に降る時雨

時雨雲(しぐれぐも)|時雨を降らせる雲

松風(まつかぜ)|松の枝葉を渡る風、またその音

松籟(しょうらい)|松に吹く風の響き

松韻(しょういん)|松風の趣深い響き

神渡し(かみわたし)|神々が出雲へ渡る頃に吹くとされる風

神立風(かみたつかぜ)|神々の出立を告げるとされる風

 

【動植物】

色見草(いろみぐさ)|楓の異称

紅葉葉(もみじば)|赤や黄に色づいた木の葉

梢の錦(こずえのにしき)|錦のように色づいた梢の紅葉

渓紅葉(たにもみじ)|谷あいを彩る紅葉

庭紅葉(にわもみじ)|庭を彩る紅葉

峰の紅葉(みねのもみじ)|山の峰を彩る紅葉

夕紅葉(ゆうもみじ)|夕日に照り映える紅葉

蔦葛(つたかずら)|木や岩などに絡みつく蔦

蔦紅葉(つたもみじ)|赤く色づいた蔦の葉

侘助(わびすけ)|小ぶりで控えめな花をつける椿の一群

返り花(かえりばな)|小春の頃に季節外れに咲く花

忘花(わすればな)|返り花の異称

木守(きまもり)|収穫後の木に一つ残しておく実

時告鳥(ときつげどり)|鳴き声で時を知らせる鶏の異称

 

【暮らし・年中行事】

紅葉狩(もみじがり)|山野に出かけ紅葉を楽しむこと

紅葉の宴(もみじのうたげ)|紅葉を眺めて楽しむ宴

紅葉舟(もみじぶね)|紅葉を楽しむために浮かべる舟

紅葉襲(もみじがさね)|紅葉にちなむ襲の色目

紅葉衣(もみじごろも)|一面の紅葉を衣に見立てたもの

紅葉の賀(もみじのが)|紅葉の頃の祝宴にちなむ『源氏物語』の巻名

通天橋(つうてんきょう)|紅葉の眺めで知られる京都東福寺の橋

野宮(ののみや)|斎王が潔斎した宮にちなむ嵯峨の旧跡

時雨傘(しぐれがさ)|時雨をしのぐために差す傘

閑坐(かんざ)|心静かに坐ること

神の旅(かみのたび)|神々が出雲へ赴くとされる旅

神立(かみたち)|神々が出雲へ旅立つこと

神送り(かみおくり)|旅立つ神々を送り出すこと

神迎え(かみむかえ)|出雲から帰ってくる神々を迎える神事

熊手(くまで)|酉の市で福を掻き込む縁起物

八つ頭(やつがしら)|酉の市の縁起物にもなる里芋

里神楽(さとかぐら)|里の神社などで奉納される神楽

神神楽(かみかぐら)|神に奉納する神楽

冬安居(ふゆあんご)|僧が冬の一定期間こもって修行すること

冬構え(ふゆがまえ)|寒さや雪に備えて住まいなどを整えること

 

参考文献

『月刊淡交テキスト 実践 取り合わせのヒント(2018)』淡交社(絶版)
『茶趣12ヵ月ハンドブック』淡交社
『二十四節気で親しむ 茶の湯の銘』淡交社

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