
七月も半ば。梅雨も明けはじめ、日差しは強さを増し、地面からの照り返しも厳しくなります。そんな夏の日に、昔から行われてきたのが「打ち水」です。
打ち水は、庭先や道に水をまくことで地面の熱を和らげ、涼を呼ぶ暮らしの知恵です。水が蒸発する際に周囲の熱を奪うため、暑さをやわらげる効果があるとされています。
また、客を迎える前に門の内外や玄関先、庭へ水を打つことは、場を清め、もてなしの心を示す行いでもありました。
茶の湯でも、露地に水を打つことは大切にされています。茶事では、客の席入り前、中立ちの前、退出の前と、三度打ち水をすることがあり、これを「三露(さんろ)」といいます。初水・中水・立水(たちみず)とも呼ばれ、時季や露地の広さに応じて加減されます。
水を含んだ飛石や苔、木々の葉は見た目にも涼やかです。露地に打たれた水は、単に暑さをやわらげるだけでなく、これから始まる一座のために、客を迎える亭主の心持ちを静かに映し出します。
一杓の水が、夏の暑さに涼を招き、その場を清める。そこには、日本の暮らしの知恵ともてなしの心が息づいています。
撮影:JP/ PIXTA
参考文献
『新版 茶道大辞典』淡交社(絶版)
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