那智の火祭|炎と滝の神事

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七月十四日、和歌山県の熊野那智大社では、例大祭「那智の扇祭(なちのおうぎまつり)」が執り行われます。勇壮な炎で知られることから「那智の火祭」とも呼ばれ、日本三大火祭の一つとして知られる神事です。

その起源は、古くから神そのものとして崇められてきた那智の滝への信仰にあります。社殿が現在の地に造営された後も、年に一度、熊野の十二柱の神々が滝へ里帰りすると伝えられ、その神事が今日まで受け継がれてきました。

祭りでは、那智の滝を象徴する高さ約六メートルの十二基の扇神輿(おうぎみこし)が、熊野那智大社から飛瀧神社(ひろうじんじゃ)へ渡御(とぎょ)します。飛瀧神社の石段には、一番から十二番までの大松が並び、次々と火が灯されます。第一大松は約五十キログラム、最後の第十二大松でも約二十五キログラムほどの重さがあり、神様が通る道をその炎で清める大切な役割を担います。神様を乗せた扇神輿と、大松の炎が織りなす壮大な光景は、この祭りを象徴する場面です。

古来、水は生命を育み、火は穢れを祓う神聖なものと考えられてきました。那智の滝の水と大松の炎が織りなす神聖な風景は、自然への畏敬と祈りを今に伝えています。

滝の響きと炎の熱気が山あいを包み込む那智の火祭は、熊野の山々に受け継がれてきた祈りを今に伝える夏の祭礼です。

 

撮影:k-hiro/ PIXTA

参考文献

茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
例大祭 「那智の扇祭り」 | 熊野那智大社 飛瀧神社 那智御瀧

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