
五月も終わりへ向かうころ、そら豆が食卓に並びはじめます。厚みのある莢(さや)をパチンと割ると、白い綿のような内側に、鮮やかな緑の豆がきれいに収まっています。パッと広がる青い香りに、初夏の気配を感じます。
そら豆は、空を向いて莢が育つことから「空豆」、また形が蚕(かいこ)の繭(まゆ)に似ていることから「蚕豆」とも書きます。古くから世界各地で栽培されてきた豆のひとつで、日本へは奈良時代に伝わったとされています。また、中華料理に欠かせない調味料「豆板醤(トウバンジャン)」の主原料としても知られています。
莢の内側のふかふかの綿は「野菜のベッド」とも呼ばれ、繊細な豆を乾燥や衝撃から守ります。そら豆は空気に触れると鮮度が落ちやすいため、できるだけ莢付きのものを購入し、手に入れたらすぐに莢から出して調理をするのが良いと言われます。おへその部分に切れ目を入れてさっと塩ゆでにすると、ほっくりとした食感と青い香りが引き立ちます。
焼く、蒸す、揚げる――さまざまな調理法で楽しまれるそら豆。この時期ならではの味わいがあります。
撮影:セーラム/ PIXTA
参考文献
『日本を味わう 366日の旬のもの図鑑』淡交社
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
一般財団法人 日本豆類協会「そら豆」
日本の季節を楽しむ暮らし 暦生活「そら豆」
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