新緑が深まり、山あいの渓流にも初夏らしい明るさが感じられるころ。水量の落ち着いた川では、流れの音がいっそう澄んで聞こえるようになります。そうした清らかな流れには、「渓流の女王」とも呼ばれる山女(やまめ)の姿が映えます。
山女はサケ科の淡水魚で、 正式には「山女魚」と書きます。体側に並ぶ楕円形の模様が特徴で、この模様を着物の斑(まだら)に見立て、「山女」と呼ばれるようになったともいわれます。
山女は冷たく澄んだ水を好み、山間の渓流に棲む魚ですが、一生を川で過ごすものを「山女」、海へ下って大きく育つものは「桜鱒(さくらます)」と呼ばれ区別されます。
細身の体で流れに逆らうように泳ぐ姿には、渓流魚らしいしなやかさがあります。初夏には釣りの対象としても親しまれ、渓流解禁の季節感とともに語られることの多い魚です。
この時期の山女は、塩焼きとして味わわれることが多く、香ばしい皮と淡白な身に、清流の魚らしい香りがあります。初夏の味わいのひとつです。
川面に光が差し込むころ、流れの中に見える山女の姿には、山から届く水の清らかさそのものが映っています。
撮影:はっさく/ PIXTA
参考文献
『日本を味わう 366日の旬のもの図鑑』淡交社
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