五月も下旬を迎えると、茶道具やお菓子、着物には「流水(りゅうすい)」や「青楓(あおかえで)」の文様が多く見られるようになります。流れる水にみずみずしい若葉を添えた意匠には、本格的な暑さへ向かう頃ならではの涼やかな趣があります。
流水文は、水の流れを曲線で表した文様です。波のように連続する線によって水の流れをあらわし、古くから着物や蒔絵、陶磁器など幅広い工芸に用いられてきました。日本では通年親しまれる文様ですが、とくに夏には「涼」を視覚的に感じさせる意匠として重宝されます。
日本には、流水文のほかにもさまざまな「水の文様」があります。渦を巻く水の動きを表した「渦文(うずもん)」、波を幾何学的に繰り返した「波文(なみもん)」、同心円の弧をうろこのように並べて波を表す「青海波(せいがいは)」などが代表的です。水は形を持たず、絶えず変化し続けることから、多種多様に意匠化されてきました。
そこへ添えられる青楓は、紅葉する前の青々とした楓の葉を表したものです。流水に青楓を散らした意匠は、川面を流れる若葉や、水辺へ枝を伸ばす楓の景色を思わせ、この季節らしい取り合わせとして好まれてきました。
目でも涼を取り入れようとする工夫にも、日本人の季節との向き合い方があらわれています。
撮影:Bonjour/ PIXTA
参考文献
『四季折々の着こなしを知る きもの文様暦』淡交社
『文様を読む 茶の湯を彩る四季のデザイン』淡交社
『茶道具に見る 日本の文様と意匠』淡交社
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