
初夏は、水田が最も美しい季節。
田には水が張られ、苗代(なわしろ)で育った早苗が本田へと移し植えられます。
植えられたばかりの若い苗はまだ背が低く、周囲の景色を水面に美しく映し出します。
山々の鮮やかな新緑と青い空が水鏡に映り込む様子は、見る人の心を清々しく満たしてくれます。
日本人にとって、田植えは単なる農作業ではなく、特別な意味を持つ行事です。
日本に稲作が伝来して以来、日々の生活から文化、さらには信仰に至るまでが、米作りの上に築かれてきました。
秋の収穫は田植えの成否にかかっているため、その年の豊穣を願い、田の神を祀る神事でもあったのです。
現在も全国各地の神社で「御田植祭(おたうえまつり)」が執り行われ、人々があぜ道で笛や太鼓を鳴らし、歌い舞う「田楽」の伝統が受け継がれています。
本日の和菓子は、末富さんの「早苗きんとん」です。
こげ茶色のきんとんというのも珍しいですが、こちらは黒糖あんが使われています。
黒糖の、優しくもしっかりとしたコクのある甘みが口の中に広がります。
早苗を表現する緑色のそぼろは大変細やかに仕上げられており、土や水を思わせるざんぐりとした黒糖きんとんとのコントラストが素晴らしい。
ふっくらとした丸みと、ヴィヴィッドな色使いのお菓子は末富さんらしさを感じます。
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菓銘:早苗きんとん
ご製:末富
住所:京都市下京区松原通室町東入
器:青瓷平皿
作:諏訪蘇山さん
★特別インタビュー記事「四代諏訪蘇山 伝統を練り、未来を焼く」はこちらから
撮影・文:日々に和菓子
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