五月十五日の葵祭に向けて、京都では少しずつ祭の準備が始まります。行列で身につける装束の調整や道具の確認が進み、祭を待つ空気が漂い始めます。
葵祭は、正式には「賀茂祭(かもまつり)」といい、下鴨神社(賀茂御祖神社〈かもみおやじんじゃ〉)と上賀茂神社(賀茂別雷神社〈かもわけいかづちじんじゃ〉)の例祭です。平安時代にはすでに国家的な祭として営まれており、『源氏物語』の「葵」の巻にもその様子が描かれています。
この祭で特徴的なのが、「二葉葵(ふたばあおい)」です。二葉葵は、下鴨神社・上賀茂神社の御神紋として知られ、賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)が降臨した際、「葵を飾って祭をせよ」と神託があったことに由来すると伝えられています。
二葉葵は、湿り気のある山中の木陰に生える多年草で、長い柄の先に心臓形の葉を二枚向かい合わせにつけます。葵祭に用いられることから「賀茂葵(かもあおい)」とも呼ばれ、同祭で頭に挿して身につけたことから古くは「挿頭草(かざしぐさ)」ともいわれていました。
葵祭では、二葉葵に桂の枝葉を添えた「葵桂(あおいかつら)」が用いられます。社殿や牛車、衣冠、牛馬などにまで飾られ、祭の装いを特徴づけています。
祭へ向かう準備の風景にも、京都の初夏らしい気配が感じられます。
撮影:maaagram / PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
『淡交新書 茶の湯の銘 季節のことば』淡交社
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