五月初旬。木々の葉は新緑から少しずつ色を深め、風景に濃淡が生まれてきます。そうした若葉の間を吹き抜ける風を「青嵐(あおあらし)」といいます。
「青」は若葉の色を、「嵐」は強く吹く風を表しています。山の木立が一斉に鳴り、若葉が風にひるがえる様子には、春から初夏へ移るころの空気が感じられます。
もともと「嵐」という字は、「山」に「風」と書くように、山に吹く風を意味していました。青嵐という言葉にも、若葉の山を吹き渡る風の景色が重ねられています。
日本では、風そのものだけでなく、その吹き方や音にも名前が与えられてきました。初夏に吹く湿り気を含んだ南風を「茅花流し(つばなながし)」と呼び、また、木々を渡る爽やかな風の音を「颯々(さつさつ)」と表すこともあります。
若葉のあいだを風が抜け、枝葉がいっせいに鳴る様子は、まさに青嵐の景色です。目には見えない風を、音や葉の動きによって感じ取ってきた感覚が、この言葉には表れています。
撮影:雄太 / PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
『淡交新書 茶の湯の銘 季節のことば』淡交社
『二十四節気で親しむ 茶の湯の銘』淡交社
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