
四月も下旬に入り、草木の勢いがいちだんと増してきます。枝や葉が重なり合い、景色に少しずつ奥行きが生まれてくるころです。
この時期の様子を表す言葉に「雀隠れ(すずめがくれ)」があります。茂った葉のあいだに雀の姿が見え隠れするほど、草木が繁ってきたことを示すものです。
それまで開けて見えていた枝先も、やわらかな新緑に覆われていきます。雀の気配はあるものの、姿ははっきりとは見えず、葉の揺れや小さな音によって、その存在が感じられます。
この言葉のおもしろさは、草木の成長を直接言い表すのではなく、「雀が隠れる」という出来事を通して伝えている点にあります。見えなくなったものに目を向けることで、かえって緑の量や広がりが実感される。そうした間接的な捉え方に、この季節のやわらかな変化があらわれています。
撮影:mune0213 / PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
『淡交新書 茶の湯の銘 季節のことば』淡交社
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