
七十二候の一つ「葭始生(あしはじめてしょうず)」は、四月二十日ごろから二十四日ごろにあたります。穀雨の初候にあたり、水辺に生える葭(あし・よし)が芽吹きはじめる時期を示す言葉です。
冬のあいだ枯れ色であった葭の原に、やわらかな緑の芽が現れはじめます。まだ背は低く、水際に沿うように伸びるその姿は、これからの成長を感じさせます。
葭は成長すると高く伸び、夏には風にそよぐ群生をつくりますが、この時期はまだ一本一本の芽が見て取れる段階にあります。成長し、やがて刈り取られた葭は、葭簀(よしず・葭を編んだ日よけ)や簾(すだれ)、葭障子の材として用いられ、夏の「しつらい」に涼をもたらします。また、古くから宇治では、抹茶用の茶葉の覆下栽培において、葭簀を広げて日光を和らげるためにも用いられてきました。
葭の芽吹きは、目立たないながらも、季節が確かに進んでいることを伝える一つのしるしといえるでしょう。
撮影:arumakan / PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
『淡交新書 茶の湯の銘 季節のことば』淡交社
※参考文献のタイトルをクリックすると、【淡交社 本のオンラインショップ】に移動します。
※最新の価格・在庫状況はオンラインショップにてご確認ください。