前回(第12回|グッバイ、風炉)に続き、今日のお稽古も中置のお点前。2026年、風炉を使ったお稽古もいよいよ今回でラストとなります。
お稽古場に到着すると、先生に「準備をしてくださいね」と告げられ、水屋でいつものようにお稽古の準備を始めました。お稽古では、ここが運命の分かれ道です。タイミングが良ければ、最初に客として、亭主を担当される方のお点前を見ながら復習ができます。でも、先に亭主を担当することになると、まっさらな状態でお点前をすることになる。もう少し早めに来ていれば、先に客として、中置点前を見ることができたのですが……果たして、2週間前の記憶を呼び戻すことができるのか。言い訳を並べる前に、まずはやってみるしかありませんよね。
水屋には、蓋が金継ぎされた美しい青磁の水指が用意されていました。十月は、風炉の季節も最後となる「名残り」の月。青磁の道具は格が高く、佗びた趣を大切にするこの時期にはあまりふさわしくないのだそう。しかし、蓋の割れた箇所に金継ぎを施すことで、この水指は名残の風情が感じられる姿に生まれ変わりました。私は、新たな場面で活躍することになった水指をさっそく運び出し、所定の位置へ置きました。

さて、中置の濃茶点前のお稽古はいつも通り、不具合の連続です。前回が最後かと思い、脳内に保存されていたはずの中置データは全て消去されていました。しかも、お稽古に通い始めて10年目、今日は痛恨のミスを犯してしまいました。
前夜は遅くまで予定があり、しかも朝から小雨が降り始めていました。疲れていたのか、低気圧のせいだったのか。集中力が途切れてしまい、私は家で洗い物をしているような素ぶりを見せてしまいました。なんと、お客さまがお戻しになった茶碗にこびりついていた抹茶を、茶筅でゴシゴシ、落とそうとしていたのです。
「はなさん、茶碗は清めるもので、洗うものではありません」と、先生から一言。
ハッ。手元を見ると、茶筅をタワシのように扱っていました。これは重症です。
そんな私を見て、先生が「そういえば、中置点前をしていた時に、誤って、釜の蓋を水指に乗せた方がいらっしゃいましたよ」と別のお稽古での出来事を教えてくださいました。ふむふむ。風炉は通常、水指が置かれる位置にあるので、そこに釜の蓋を乗せてしまうことは理解できます。お点前中は、思いがけない「事故」が起こるのですね。
「茶碗は洗うな、心を洗え」。私の失敗を見ていた皆さんと一緒に唱えました。今日で風炉さんともお別れですが、最後にとんでもない場面を見せてしまったような気分です、、、とほほ。

撮影:はな、北見宗雅
