はなの茶の湯ノオト
~茶事亭主への道~第13回|茶碗は洗うな!

モデルとして活動するはなさんが綴る、茶の湯のお稽古ノート。

茶道歴10年。それでもお点前はまだまだ手探りで、毎回どこか新しい発見があります。そんな日々の中で、「できないこと」と向き合いながら、茶事の亭主を目指していきます。

くすっと笑ってしまうような出来事も、思わず立ち止まるような気づきもそのままに。少しずつ身体で覚えていく茶の湯の時間を、同じ目線でたどります。

▶連載「はなの茶の湯ノオト ~茶事亭主への道~」はこちらから

Article

記事内容

前回(第12回|グッバイ、風炉)に続き、今日のお稽古も中置のお点前。2026年、風炉を使ったお稽古もいよいよ今回でラストとなります。

お稽古場に到着すると、先生に「準備をしてくださいね」と告げられ、水屋でいつものようにお稽古の準備を始めました。お稽古では、ここが運命の分かれ道です。タイミングが良ければ、最初に客として、亭主を担当される方のお点前を見ながら復習ができます。でも、先に亭主を担当することになると、まっさらな状態でお点前をすることになる。もう少し早めに来ていれば、先に客として、中置点前を見ることができたのですが……果たして、2週間前の記憶を呼び戻すことができるのか。言い訳を並べる前に、まずはやってみるしかありませんよね。

水屋には、蓋が金継ぎされた美しい青磁の水指が用意されていました。十月は、風炉の季節も最後となる「名残り」の月。青磁の道具は格が高く、佗びた趣を大切にするこの時期にはあまりふさわしくないのだそう。しかし、蓋の割れた箇所に金継ぎを施すことで、この水指は名残の風情が感じられる姿に生まれ変わりました。私は、新たな場面で活躍することになった水指をさっそく運び出し、所定の位置へ置きました。

 

 

さて、中置の濃茶点前のお稽古はいつも通り、不具合の連続です。前回が最後かと思い、脳内に保存されていたはずの中置データは全て消去されていました。しかも、お稽古に通い始めて10年目、今日は痛恨のミスを犯してしまいました。

前夜は遅くまで予定があり、しかも朝から小雨が降り始めていました。疲れていたのか、低気圧のせいだったのか。集中力が途切れてしまい、私は家で洗い物をしているような素ぶりを見せてしまいました。なんと、お客さまがお戻しになった茶碗にこびりついていた抹茶を、茶筅でゴシゴシ、落とそうとしていたのです。

「はなさん、茶碗は清めるもので、洗うものではありません」と、先生から一言。

ハッ。手元を見ると、茶筅をタワシのように扱っていました。これは重症です。

そんな私を見て、先生が「そういえば、中置点前をしていた時に、誤って、釜の蓋を水指に乗せた方がいらっしゃいましたよ」と別のお稽古での出来事を教えてくださいました。ふむふむ。風炉は通常、水指が置かれる位置にあるので、そこに釜の蓋を乗せてしまうことは理解できます。お点前中は、思いがけない「事故」が起こるのですね。

 

「茶碗は洗うな、心を洗え」。私の失敗を見ていた皆さんと一緒に唱えました。今日で風炉さんともお別れですが、最後にとんでもない場面を見せてしまったような気分です、、、とほほ。

 

 

撮影:はな、北見宗雅

 

連載「はなの茶の湯ノオト ~茶事亭主への道~」はこちらから

Detail

記事詳細情報

執筆者

はな

はな|神奈川県横浜市出身。2歳から横浜のインターナショナルスクールに通い、17歳からモデルを始める。上智大学比較文化学部比較文化学科で美術史を学び 、テレビ・ラジオなど活動を広げる。現在もファッション誌で活躍するかたわら、FMヨコハマ「Lovely Day~hana金~」(毎週金曜)のナビゲーターをつとめる。2016年に雑誌「淡交」での連載をきっかけにお茶の稽古を始め、これまでに『はな、茶の湯に出会う』『今日もお稽古日和』『ニッポン茶室ジャーニー』(いずれも淡交社刊)などお茶に纏わる書籍を出版。2003年にパンダ大使、2017年に国宝応援大使、2019年に奈良国立博物館評議員に就任。TANKO+では「はなの茶の湯ノオト~茶事亭主への道~」を連載中。

More contents

Explore

紙の本でさらに深く学ぶ

茶の湯を学ぶコンテンツが
読み放題

有料会員になると、700点以上の動画・電子書籍・記事・茶道辞典・イベント情報などのコンテンツをすべてご利用いただけます

月額990円(税込)

いつでも解約可能