
十月のこの時期、街路樹の銀杏(いちょう)が少しずつ色づき始めているのに気づきます。夏の間、青々と茂っていた葉は、やがて鮮やかな黄色へと変わり、ひと月ほどすると街路を黄金色に染め上げます。足元に散り敷いた黄色い葉も、秋ならではの風景です。
銀杏は中国原産の落葉高木で、扇を広げたような独特の形の葉が特徴です。非常に古い時代から地球上に存在する植物で、「生きた化石」とも呼ばれています。日本には古くに中国から伝わったとされ、現在では神社や寺院の境内、公園、街路など、身近なところで見ることができます。
茶の湯にゆかりの深い銀杏といえば、裏千家今日庵の「宗旦銀杏(そうたんいちょう)」が知られています。千利休の孫である千宗旦が手植えしたと伝えられる銀杏の木で、裏千家の象徴として親しまれています。この宗旦銀杏には、京都の町を襲った大火の際、木から水が噴き出して今日庵を火災から守ったという伝説が残されています。
これから日ごとに黄色を増していく銀杏の葉。街路の景色が移り変わるにつれ、秋もいよいよ深まっていきます。
撮影:ひろし58 / PIXTA(ピクスタ)
参考文献
『新版 茶道大辞典』(淡交社)(絶版)
※参考文献のタイトルをクリックすると、【淡交社 本のオンラインショップ】に移動します。
※最新の価格・在庫状況はオンラインショップにてご確認ください。
シリーズ「季節を読む」はこちらから