
九月二十四日頃は、七十二候の「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」。夏の間、空に響いていた雷が次第に鳴りをひそめる頃です。
ゴロゴロと雷鳴を響かせ、激しく空を光らせる。その大きな音と光は、古くから人々に恐れられる一方、神の力としても捉えられてきました。『古事記』では、亡くなって黄泉国へ行った伊邪那美命(いざなみのみこと)の身体に、八雷神(やくさのいかづちのかみ)と呼ばれる八柱の雷神が現れたと書かれています。
春分の頃には、雷乃収声と対になる「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」があります。春に鳴り始めた雷は夏に盛んとなり、秋分を迎える頃には、その声も少しずつ遠ざかっていくのです。
雷を表す言葉の一つが「稲妻(いなづま)」です。古くから、稲が実る頃に雷をともなう嵐が多いことから、雷光が稲を実らせると考えられてきました。「つま(づま)」とは、古くは夫婦の相手を指す言葉。雷を稲の実りをもたらす相手と考え、「稲のつま」、すなわち「稲妻」と呼ぶようになったとされます。
田んぼでは稲穂が垂れ、収穫を迎える頃。雷の声が次第に遠ざかれば、いよいよ実りの秋の到来です。
撮影:まちゃー / PIXTA(ピクスタ)
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』(淡交社)
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