
しとしとと雨の降る日が何日も続く……。秋の雨は、夏の夕立のように勢いよく降ってさっと上がる雨とは違い、曇り空とともに何日も続くことがあります。こうした雨を「秋雨(あきさめ)」と呼びます。
気象庁では、秋雨を「秋に降る雨、長雨になりやすい」とし、おおむね八月後半から十月にかけて見られる現象としています。
秋雨をもたらすのが「秋雨前線」。夏から秋へと季節が移り変わるころ、日本付近では南からの暖かく湿った空気と、北からの乾いた空気との境目に前線ができ、停滞することがあります。この前線が秋雨前線です。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むと雨雲が発達し、曇りや雨の日が続きます。
今年は猛暑だった八月から一転、九月に入ってから雨の日が多い地域が複数あります。
実際、九月前半は各地で平年より雨の多い状態で、八月二十九日から九月十一日までの十四日間で見ると、降水量は関東甲信で平年の約三倍、北陸や近畿では約二倍、東北でも約一・七倍となっています。
一方で、九州など雨の多い時期と少ない時期が分かれた地域もあり、全国一様ではありません。
そして秋雨は、いつも静かに降り続くわけではありません。今年も各地で線状降水帯が発生し、短時間に猛烈な雨が降りました。九月には名古屋などで記録的な大雨となり、道路の冠水や河川の増水などが発生しています。秋は台風の接近も多い時季で、前線に大量の暖かく湿った空気が流れ込むことで、雨が急激に強まり、大雨となることもあります。
秋雨の時季は、「ひと雨ごとに秋が深まる」といわれる季節。今年はその雨の多さを、いつにも増して実感する秋となっています。空模様に季節の移ろいを感じる一方で、ときに大きな災害をもたらす秋の雨。日々の天気予報や防災情報にも目を向けながら、雨の季節を過ごしたいものです。
撮影:Photo Peak / PIXTA(ピクスタ)
参考文献
『二十四節気で親しむ 茶の湯の銘』淡交社
気象庁「地域ごとの観測値―関東甲信(14日ごとの値)」
気象庁「地域ごとの観測値―北陸(14日ごとの値)」
気象庁「地域ごとの観測値―近畿(14日ごとの値)」
気象庁「線状降水帯に関する各種情報」
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