
八月も終わりを迎える頃。地上ではまだ厳しい残暑が続いていても、ふと空を見上げると、そこには秋の訪れを感じさせる雲が浮かんでいることがあります。「鱗雲(うろこぐも)」も、そんな秋を代表する雲の一つです。
鱗雲は、小さな白い雲が魚の鱗のように並んで見えることから付けられた呼び名です。魚の群れのようにも見えることから、「いわし雲」と呼ばれることもあります。一般に、上空およそ五千〜一万三千メートルにできる「巻積雲(けんせきうん)」が鱗雲と呼ばれます。似たものに「ひつじ雲」と呼ばれる高積雲がありますが、ひつじ雲は鱗雲よりも低いところにでき、一つ一つの雲も大きく見えます。
鱗雲やいわし雲は、古くから秋を感じさせる空の景色として親しまれ、俳句では秋の季語とされています。夏空を象徴する入道雲が空高く盛り上がる力強い姿を見せるのに対し、細かな雲が高い空に広がる鱗雲には、どこか軽やかで澄んだ秋らしい趣があります。
「鱗雲が出ると天気が崩れる」といわれることもあります。鱗雲が次第に広がったり、雲が厚くなったりする変化は、低気圧や前線が近づいている兆しとなる場合があるからです。ただし、鱗雲が現れたからといって必ず雨が降るわけではありません。雲の形だけでなく、その後どのように空が変化していくかを見ることが、天気を知る手がかりになります。
日中の暑さだけを感じていると、季節が変わりつつあることを忘れてしまいそうになります。それでも、高い空に浮かぶ雲の形には、確かに秋の気配が見て取れます。
撮影:saho / PIXTA(ピクスタ)
参考文献
『二十四節気で親しむ 茶の湯の銘』淡交社
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
日本気象協会 tenki.jp「うろこ雲はなぜできる?雲の見分け方とこの先の天気を読む方法」
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