
八月も今日で終わり。日中にはまだ厳しい残暑が続いていますが、朝夕に外へ出ると、ふと吹く風にこれまでとは違う涼しさを感じることがあります。秋になって初めて感じる、そんな涼しさを「新涼(しんりょう)」といいます。
「新涼」は秋の季語。「新たに訪れた涼しさ」という意味をもち、秋の訪れとともに感じられる涼気を表す言葉です。「初涼(しょりょう・はつすずみ)」ともいいます。また、秋になって早くも感じられる涼しさを「早涼(そうりょう)」といい、いずれも厳しい暑さのなかに訪れた秋の気配を、肌で感じ取った言葉といえるでしょう。
興味深いのは、同じ「涼しさ」でも、季節によって言葉の捉え方が異なることです。俳句では「涼し」は夏の季語。夏の暑さのなかで感じる風や水辺、木陰などの心地よい涼しさを表します。一方、「新涼」は秋になって初めて感じる涼しさ。そこには、暑さをしのぐために求める「涼」とは異なる、季節が移り変わっていくことへの感慨が込められています。
明日から九月。暑さのなかにふと感じる一筋の涼風も、季節が次へと歩みを進めているしるしです。朝夕の風に身をまかせ、肌に触れる空気から今年最初の「新涼」を探してみてはいかがでしょうか。
撮影:とうがらしたんたん / PIXTA(ピクスタ)
参考文献
『二十四節気で親しむ 茶の湯の銘』淡交社
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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