
晴れていた夏の空がにわかに暗くなり、大粒の雨が激しく降り出す「夕立」。雷を伴うこともあり、ひとしきり降ったかと思えば、ほどなく雨が上がって青空がのぞく。夏の午後から夕方にかけて見られる、印象的な雨です。
夕立は、強い日差しによって地表付近の空気が暖められ、上昇することで発達した積乱雲などから降る雨です。短い時間に狭い範囲で激しく降ることが多く、同じ町のなかでも、雨に降られる場所とまったく降らない場所があることも珍しくありません。
「夕立」という言葉は古くから使われてきました。「夕立つ」とは、もともと夕方に風や雲などが立ち起こることを表した言葉で、やがて夕方に降るにわか雨を指すようになったとされています。また、夕立は「白雨(はくう)」とも呼ばれます。激しく降る雨が白く見えることから生まれた言葉で、夏の季語としても親しまれてきました。夕立とともに、雨宿りする人々や雨上がりの涼しさ、濡れた草木など、さまざまな夏の情景が俳句に詠まれています。
夕立が過ぎたあとは、熱を帯びていた地面が雨に濡れ、ふっと空気が変わったように感じられることがあります。濡れた土や草木から立ち上る匂い、雲の切れ間から差し込む夕日の光。さっきまでの雨の喧騒が嘘のように、あたりには静かな時間が訪れます。
八月も残りわずか。日中はまだまだ厳しい暑さが続きますが、吹く風にも少しずつ季節の移ろいが感じられる頃です。激しい夕立が過ぎ去ったあとの涼やかな空気に、夏の終わりと、近づく秋の気配を感じてみてはいかがでしょうか。
撮影:adigosts / PIXTA(ピクスタ)
参考文献
『二十四節気で親しむ 茶の湯の銘』淡交社
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
はれるんランド
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