
すっと伸びた茎の先から紫色の花を咲かせる桔梗(ききょう)。五つに分かれた星形の花は端正で凛とし、古くから日本人に親しまれてきた草花です。
桔梗はキキョウ科の多年草。つぼみのうちは、花びらがぴたりと合わさって風船のようにふくらみ、やがて先端が開いて美しい花を咲かせます。「秋の七草」の一つとして知られていますが、花は夏から咲き始めます。お盆の頃にも花を咲かせることから、仏前に供える「盆花」としても用いられてきました。
『万葉集』で山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ秋の七草には、萩、尾花、葛、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴とともに「朝貌(あさがお)」が挙げられています。この朝貌が何を指すのかについては諸説ありますが、現在では桔梗とする説が有力です。
桔梗は、その特徴的な花の形から、さまざまな意匠にも取り入れられてきました。家紋の「桔梗紋」はその代表で、なかでも明智光秀が用いたとされる水色の桔梗紋はよく知られています。また、花の形になぞらえて「桔梗笠」「桔梗皿」「桔梗袋」など、桔梗の名を冠したものも生まれました。
茶席でも、桔梗は秋の風情を感じさせる茶花として親しまれています。盆花、家紋、身近な道具の形にまで広がった桔梗。その端正な五弁の姿は、暮らしの中に息づいています。
撮影:ogurisu_Q / PIXTA(ピクスタ)
参考文献
茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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