
夏の池に、大きな葉を広げる蓮。「荷葉(かよう)」とは、蓮の葉のことです。水面を覆うように重なり合う青々とした葉は、盛夏の景色に涼やかな趣を添えてくれます。
蓮の葉には水をはじく性質があり、雨上がりや朝露の頃には、丸い水滴が葉の上をころころと転がる姿を見ることができます。風が吹けば、大きな葉はゆったりと揺れ、水滴が零れ落ちる。花の華やかさとはまた違った、涼味を感じる美しい景色です。
こうした蓮の葉の姿は、古くから絵画の画題となり、陶磁器をはじめとする工芸品の意匠にも取り入れられてきました。茶の湯の道具にも「荷葉」の名をもつものがあります。
その一つが「荷葉釜(かようがま)」。蓮の葉を伏せたような姿をした茶湯釜で、表面には葉脈が鋳出されています。また、江戸時代後期に作られた、大相撲の番付表にならって香合を格付け・分類した「型物香合番付」には、「荷葉香合(かようこうごう)」が挙げられています。蓋を蓮の葉の形にした香合です。
荷葉は、目に涼しさを感じさせる夏の意匠として、さまざまな形で親しまれています。
撮影:775 / PIXTA(ピクスタ)
参考文献
『新版 茶道大辞典』淡交社(絶版)
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