
さらりとした生地に、朝顔や金魚、花火など夏らしい文様をあしらった「浴衣(ゆかた)」。見た目にも涼やかな、日本の夏ならではの装いです。
浴衣は、もとは「湯帷子(ゆかたびら)」と呼ばれ、貴人が蒸し風呂に入る際に身につけた麻の着物でした。室町時代末期には盆踊りの流行とともに一般にも広まり、江戸時代に木綿の生産量が増えると、肌触りがよく汗を吸う木綿の浴衣が主流となります。やがて湯上がりだけでなく、夏の日常着としても親しまれるようになりました。
浴衣も着物の一種で、形はよく似ていますが、装いには違いがあります。一般的な着物では長襦袢を重ね、足袋に草履を合わせるのに対し、浴衣は長襦袢を着けず、半幅帯を締め、素足に下駄を合わせるのが一般的。その軽やかな装いにも、もとは湯上がり着だった浴衣の名残を見ることができます。
現在では日常着として浴衣を着る機会は少なくなりましたが、花火大会や縁日、夏祭りなどでは今も多くの人に親しまれています。
湯のための衣から、夏の日常着へ、そして夏のひとときを楽しむ装いへ。時代とともに役割を変えながら、浴衣は今も日本の夏を涼やかに彩っています。
撮影: Ushico / PIXTA(ピクスタ)
参考文献
ホテル龍名館東京「浴衣と着物の違いとは? それぞれの歴史や着付け方法の違い」
※参考文献のタイトルをクリックすると、【淡交社 本のオンラインショップ】に移動します。
※最新の価格・在庫状況はオンラインショップにてご確認ください。