
厳しい暑さが続く七月の終わり。それでも夏至から一か月ほどが過ぎ、日暮れは少しずつ早くなり始めます。昼間の暑さは変わらなくても、夕方になると空の色や吹く風に、わずかな季節の移ろいを感じる頃です。
そんな夕暮れに、人々は庭先や縁側へ出て涼を楽しみました。「夕涼み(ゆうすずみ)」です。
夕涼みは、日中の暑さを避け、自然の風を感じながら過ごす日本の夏の風習です。エアコンのない時代、人々は打ち水をしたり、簾を掛けたり、団扇で風を送りながら、少しでも心地よく過ごせる工夫を重ねてきました。
夕涼みは、暑さをしのぐだけではありません。少し前までは、夏の夕暮れになると、縁側や庭先には自然と人が集まり、家族や近所の人々と語らいながら涼を楽しむ光景が各地で見られました。夏祭りや盆踊り、庭先での花火なども、夕暮れの時間をともに過ごす夏の風習として親しまれ、人と人とのつながりを育んできました。
夕暮れの訪れは少しずつ早まり、季節はゆっくりと秋へ向かっています。夕涼みは、そんな自然の小さな変化に気づきながら、夏を慈しむ日本人の暮らしの知恵なのです。
撮影:でじたるらぶ/ PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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