
七月下旬、京都では夏の風物詩「御手洗祭(みたらしまつり)」が行われます。境内の御手洗池に足を浸し、無病息災を祈る神事で、「足つけ神事」としても親しまれています。
古くから、夏の土用の頃になると御手洗池には清水が湧き出すと伝えられています。その水に足を浸すと、罪や穢れが祓われ、疫病や脚気にかからず、健康に過ごせると信じられてきました。暑さが最も厳しい時季に、清らかな水で心身を清めるこの風習は、今も多くの人々に受け継がれています。
この神事は、現在では下鴨神社(しもがもじんじゃ)の御手洗祭が広く知られていますが、その起源は、蚕ノ社(かいこのやしろ)の名で親しまれる木嶋神社(木嶋坐天照御魂神社)の「元糺の池(もとただすのいけ)」にあるとも伝えられています。嵯峨天皇(七八四~八四二)の時代に、穢れを祓う神池としての役割が下鴨神社へ移され、それ以来、木嶋神社の社叢は「元糺(もとただす)の森」と呼ばれるようになったという説も残されています。
また、御手洗池に湧く水泡の姿をかたどったものが、京都名物「みたらし団子」の由来といわれています。串に刺さった団子が連なる姿は、水面に浮かぶ泡を表しているとも伝えられ、今も多くの人に親しまれています。
冷たい清水に足を浸し、夏の健康を願う御手洗祭。そこには、水によって穢れを祓い、心身を清めるという、日本古来の禊の思想が今も息づいています。
撮影:Yukihiro/ PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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