
六月になると、各地で鵜飼(うかい)が始まります。夕闇の川面に篝火(かがりび)が揺れ、その明かりのもとで鵜匠が操る鵜が魚を追う光景は、古くから夏の風物詩として親しまれてきました。
鵜飼は、鵜を操って鮎などを捕る伝統的な漁法です。日本では古くから行われ、『日本書紀』や『古事記』にもその記録が見られます。
こうした風景は芸能の世界にも取り入れられ、能「鵜飼」では、殺生の罪を負った鵜匠の亡霊が登場し、僧の供養によって救いを得る物語が描かれています。
茶の湯でも、鵜飼の情景を映した道具が見られます。鵜舟の船棹や櫂を模した香合、篝火を意匠にした蓋置、鵜を入れる籠を写した鵜籠花入などがその一例です。夏の茶席では、こうした道具を通して涼感を取り合わせの中に表現することがあります。
夜の静かな川に揺れる炎と、水面を滑る舟の姿。鵜飼は漁の技だけでなく、日本の夏の風情を今に伝える文化として受け継がれています。
撮影:kumaphoto/ PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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