
梅雨の頃は雨によって川や池の水かさが増し、水辺の景色にもどこか神秘的な雰囲気が漂います。そんな季節に思い起こされる存在が「河童」です。
河童は、日本各地に伝わる水辺の妖怪です。その名は「河の童(かわのわらべ)」が転じて「かっぱ」になったともいわれ、「河太郎(かわたろう)」という呼び名で伝わる地域もあります。頭に皿、背には甲羅、手足には水かきを持つ姿で描かれることが多く、水辺に住む不思議な存在として語り継がれてきました。
伝承では、河童は胡瓜や相撲を好むことで知られています。一方で、こうした話には、子どもたちに川遊びの危険を伝え、水辺への畏れを忘れないようにする教訓も込められていたと考えられています。
茶の湯にも河童にちなむ意匠があります。裏千家四代・仙叟好みの薄茶器の一つに「河太郎棗(かわたろうなつめ)」があり、蓋の甲の中央を少しくぼませた形が、河童の頭の皿を思わせることから、いつからかその名が付いたと伝えられています。
雨の季節、川の流れを眺めながら、昔の人々の想像力に思いを巡らせてみるのもよいかもしれません。
撮影:sima-box/ PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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