六月になると、紫陽花(あじさい)が少しずつ色づきはじめます。雨に濡れた花房はいっそう色鮮やかに見え、この時期の景色を彩ります。
現在よく見られる品種は西洋紫陽花で、日本の額紫陽花(がくあじさい)がヨーロッパへ渡り、品種改良されたのちに日本へ戻ってきたものです。もともと日本には額紫陽花や山紫陽花(やまあじさい)などが自生し、古くから親しまれてきました。
紫陽花には、青、紫、桃、白など豊かな色合いがありますが、それは品種だけでなく、育つ土壌の性質によっても変わります。咲く場所によって異なる表情を見せるところもこの花の魅力です。
『万葉集』には「味狭藍(あぢさゐ)」の名で登場し、その語源は「あづさい(集真藍)」、つまり「藍色が集まったもの」に由来するという説があります。小さな花が集まって咲く姿と、その美しい色合いから生まれた名ともいわれています。
また紫陽花には、魔除けや厄除けの花としての風習も伝わっています。六月の六のつく日に花を逆さに吊るすと厄を払うともいわれ、地域によっては今もその習わしが受け継がれています。
紫陽花は咲き進むにつれて少しずつ色を変えることから、「七変化(しちへんげ)」とも呼ばれます。梅雨の頃ならではの湿った空気の中で咲く紫陽花は、雨の季節に彩りを添える花として、今も多くの人に親しまれています。
撮影:文猫/ PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
『淡交新書 茶の湯の銘 季節のことば』淡交社
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