
六月に入ると、南から吹く風に夏の気配が混じりはじめます。雨を含んだ湿った風の日もあれば、夏の日差しを思わせる風の日もあります。
南から吹く風は「南風(みなみかぜ)」と読みますが、古くは「はえ」とも読まれてきました。とくに初夏から夏にかけて吹く南風には、季節を進めるような力があります。
梅雨どきの南風は、雨雲を運び、田畑を潤す風でもあります。俳句の季語では、梅雨のころに吹く南風を「黒南風(くろはえ)」、梅雨が明けて青空のもとに吹く南風を「白南風(しろはえ)」と呼び分けることがあります。同じ南風でも、空の色や季節の移ろいによって、その印象は大きく異なります。
田植えを終えた田を渡る風、青葉を揺らす風、雨の気配を運ぶ風。そのひとつひとつに、夏の近さが感じられます。
撮影:kazuyoshi sakai/ PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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