
五月も終わりに近づくころ、空気には少しずつ湿り気が混じりはじめます。晴れていてもどこか水気を含んだ風が漂い、まもなく訪れる梅雨の気配が感じられる頃です。
「雨安居(うあんご)」とは、僧が雨季のあいだ一定の場所に留まり、修行に専念することをいいます。もともとはインドの雨季に由来するもので、外を歩けば草木や小さな生き物を傷つけてしまうことから、移動を控えて静かに過ごしたことにはじまるとされています。
この風習は仏教とともに中国、日本へ伝わり、日本では旧暦四月十六日から七月十五日までを「夏安居(げあんご)」として、僧たちは一定の場所に留まりながら修行に励みました。
「安居」という語には、ただ留まるだけでなく、一つの場所に身を落ち着け、静かに過ごすという意味があります。雨の季節に向かうこの時期、内へと意識を向けるのもよいかもしれません。
撮影: mikio_snapshot / PIXTA