蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)

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二十四節気「小満」の初候にあたる七十二候「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」は、五月二十一日ごろから二十五日ごろにかけての頃を指します。蚕が盛んに桑の葉を食べはじめる時期とされ、初夏の養蚕の営みを表した候です。

蚕は、桑の葉だけを食べて育つ昆虫です。卵から孵ったばかりの頃は小さいものの、成長するにつれて大量の葉を食べるようになるため、静かな部屋に無数の蚕が並ぶと、桑の葉を噛む細かな音が絶えず聞こえたといわれます。

蚕がつくる繭(まゆ)からは、生糸が取れます。その糸は、絹糸として着物や帯をはじめ、日本の染織文化を支えてきました。茶席で用いられる帛紗(ふくさ)や古帛紗(こぶくさ)、仕覆(しふく)には絹が多く用いられており、蚕から生まれる糸は、茶の湯の道具や装いとも深く結びついています。

近代には、生糸の輸出が日本の産業を支えた時代もありました。蚕と桑は、暮らしや経済と深く関わってきたのです。

やわらかな桑の若葉を次々と食べながら、蚕は白く大きく育っていきます。この時期に育まれる小さな命はやがて糸となり、日本の衣服や工芸、茶の湯の文化を支えていくことになります。

 

撮影:kazenoharimao/ PIXTA

参考文献

茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社

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