躑躅|初夏の庭を彩る花

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五月初旬から中旬にかけ、庭園や道沿いの生垣に、色鮮やかな躑躅(つつじ)の花が見られるようになります。丸く刈り込まれた株を覆い尽くすように咲きそろい、景色の中にまとまった色の面をつくり出す姿は、この時期ならではの風景です。新緑が日ごとに深まりゆく中、躑躅の鮮やかな紅や白、紫が加わり、初夏の景色がいっそう鮮やかになります。

躑躅は古くから日本各地の山野に自生し、『万葉集』にも詠まれてきた日本人にとって親しみ深い花です。江戸時代には園芸品種の改良も盛んになり、霧島躑躅や平戸躑躅など多くの品種が生まれ、寺院の庭園などにも広く取り入れられてきました。

「躑躅」という漢字は、中国で羊がこの植物を食べると足踏みして苦しむと考えられたことに由来するといわれますが、日本では観賞用として広く育てられ、その美しさが磨かれてきました。その鮮やかな色彩は、花を眺めるだけでなく、装束の色彩感覚にも取り入れられています。平安時代の「襲色目(かさねのいろめ)」には、初夏の草花に由来する「躑躅」の名を持つ配色が見られ、自然の色を衣の重なりに映す感覚とも深く結びついていました。

庭に連なる躑躅の色には、花を眺めるだけでなく、季節を色の重なりとして受け取ってきた感覚も重なっています。

 

撮影:Nature Catcher Japan/ PIXTA

参考文献

茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
茶道具に見る 日本の文様と意匠』淡交社
茶の湯をまなぶ本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト 1級・2級』淡交社

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