
日本には、四季折々、必ずいただきたい欠かせないお菓子があります。
お正月の花びら餅、春の桜餅、6月の水無月—そして、11月にいただく亥の子餅もまた、そんな季節の訪れを告げる欠かせない一品ではないでしょうか。
亥の子餅は、亥の月(旧暦10月)にこれを食し、無病息災と子孫繁栄を祈願した中国の風習に基づいて、平安時代に宮中にて食べられたのが始まりと言われています。
「源氏物語」にも亥の子餅が登場する場面があり、古くは、大豆、小豆、大角豆(ささげ)、胡麻、栗、柿、糖(あめ)の七種の粉を入れた餅をついたと描かれています。
やがて武士階級にも広がり、江戸時代になると、「玄猪祝儀(げんちょしゅうぎ)」と称して、江戸にいる大名や役人が江戸城に集まり、亥の子餅をいただくしきたりが生まれました。
民間ではちょうど稲刈りが終わった時期であり、秋の豊かな実りと収穫を祝う行事として深く根付いていきます。
また、「亥」は陰陽五行説において水性に当たり、火災を逃れるという信仰があります。
このため江戸時代の庶民の間では、亥の月の亥の日を選び、囲炉裏や炬燵を開いて、火鉢を出し始めた風習ができあがりました。
茶の湯の世界では、この日を炉開きの日としており、新茶の抹茶が出来上がる時期、温かなお茶と共に開炉を祝い、「茶人の正月」と呼ばれるほどに大切にされてきました。
少し肌寒さを覚える頃、温かいお茶がよりいっそうおいしく感じられる季節。
香り高く立ち上るお抹茶の湯気に向き合いながら、亥の子餅とともに心静かな素晴らしい一服を。

本日の和菓子は「菓子屋のな」さんの「うり坊」です。
ウリボウとはイノシシの子供のことで、背中にはっきりとした白い縦縞模様があり、その愛らしい姿が瓜の実の模様に似ていることから名付けられました。
のなさんの「うり坊」は、まろやかな柿キャラメルあんとつぶあんを柔らかな羽二重餅で包み、たっぷりとかかった黄な粉が香ばしく立ち上ります。
コロッとしたフォルムと背中の縞模様のあしらい方に、絶妙なかわいらしさを感じます。
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菓銘:うり坊
ご製:菓子屋のな
住所:京都市下京区篠屋町75
器:敷板
作:ハタノワタルさん
撮影・文:日々に和菓子
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※掲載した和菓子が販売されているとは限りません。
※販売状況は店舗にお尋ねください。
