なぜ茶事に招かれた時などに、会費のほかに品物も添えるのでしょうか。

  • 執筆:石塚 修

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その品物とは、いわゆる「台」といわれるもののことですね。

のし袋を包む「台付き袱紗」があるように、昔はのし袋、すなわち金封を他人に渡すときには、そのまま渡すことは失礼にあたりました。武家社会などでは「進物盆(しんもつぼん)」や「切手盆(きってぼん)」といわれる塗盆に金封をのせ、そこに自家の紋の入った袱紗を掛けて、相手に届け主がわかるようにして渡すことを正式としました。

 

その名残は、現代でもお商売以外で他人に金銭を渡すときには、封筒に入れたり紙で包んだりして金銭の露出を避けることにつながっています。
社会の変化に伴い、わざわざ金封を盆にのせて運ぶのも煩(わずら)わしい環境になってくると、盆が省略されはじめ、紋付の袱紗も風呂敷に代わっていったわけです。

そのため、現代でも品物を風呂敷に包んで持参した場合には、その風呂敷は持参した方のものとして、いただいた側は、お帰りにはたたんでお返しするものなのです。

あまりにもその常識が薄れたため、最近のマナーとしては、「持参した人が風呂敷をはずして先方にお渡ししなさい」となっています。

 

このように「台」は手土産というよりも、金封をのせる「盆」に代わるものと理解すれば良いと思います。そのため招かれた人が各自でこまごまとしたものを用意するよりも、一同で何かまとめて差し上げるのが良い方法だと思います。

もちろんそれとは別に各自が心入れの手土産を用意されて差し上げても、それはそれで「お水屋見舞い」として喜ばれるでしょう。

 

▶第7回「お水屋見舞いはどうすればよいでしょうか “気の利いた”水屋見舞いとは何か」はこちらから

 

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執筆者プロフィール

石塚 修

いしづか おさむ|1961年 栃木県生まれ。1985年 筑波大学大学院修了。現在、筑波大学人文社会系教授 博士(学術)。専門は茶の湯を中心とした食文化と日本文学との影響関係。著書『茶人のたしなみ 和歌俳句に学ぶ』(淡交社)『茶の湯ブンガク講座』(淡交社 )『西鶴の文芸と茶の湯』(思文閣出版 )『納豆のはなし-文豪が愛した納豆と日本人のくらし』(大修館書店 )ほか。第25回茶道文化学術奨励賞などを受賞。今日庵茶道教授(茶名 宗修)。裏千家淡交会巡回講師。

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