茶事に招かれたら、のし袋には何と書く? スマートな『表書き』作法

  • 執筆:石塚 修

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指導的立場ほど悩む、のし袋の表書き

「茶事に招かれた際、のし袋の表書きはどうしたらよいか」

これは、指導的立場にある方ほど悩まれることの多い問いかもしれません。

 

目的が明確な茶事の場合

茶事に招かれた場合、その茶事の目的が「茶室披き」や「還暦祝い」など、明確な場合には、それに相当する「お祝い」「壽」などで良いかもしれません。

 

ちょっとした招待の茶事では?

しかし、茶友のちょっとした招待の場合には、どのように書くべきでしょうか。よく「お祝い」や「御会費」と書く方がいますが、ふだんの茶事は必ずしも「祝い事」ではありませんし、大寄せ茶会のように会費制でもない場合も多いため、そうした表書きには違和感が残ります。

 

本来、茶事は「互いに呼び合う」もの

そもそも、茶事は古くは「互いに呼び合う」ことが原則でしたので、招待者がお包をしていく風習はありませんでした。その名残が、「呼ばれ正客」や「茶債」という言葉です。招待されてばかりで招待しない茶人を揶揄した言葉です。しかし、現代ではなかなかそうした相互関係は難しいので、金銭を包んでいくことは、やむを得ない現実的対応でしょう。

 

スマートな表書きとは何か

では、その際にどのような表書きにすれば、スマートな渡し方になるのでしょうか。客として、「本来はお呼び返し(自身の茶事にお招きすること)をしなくてはならないところですが、ここは金銭でご勘弁ください」という姿勢を、さりげなく伝えたいものです。そうなると「御礼」が、とりあえずの書き方になるのかもしれません。「寸志」は、現在は目上から目下に使うニュアンスが強いとされるものなので、注意が必要でしょう。

 

「御~料」という考え方

より丁寧にするならば、「御~料」の表書きがふさわしいのではないでしょうか。そもそも古来の贈答は、品物を持参するのが本来でした。それを簡略化して「御~料」としていることは、結納などで「御帯料」などと書かれることからもわかります。

 

金銭はあくまで代替であるという意識

「御~料」と書くからといって、それは必ずしも対価という考え方ではありません。あくまでも、本来は相応の対応をすべきところですが、金銭でお許しください、という気持ちを忘れてはならないと思います。

 

撮影: NOV / PIXTA

 

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執筆者プロフィール

石塚 修

いしづか おさむ|1961年 栃木県生まれ。1985年 筑波大学大学院修了。現在、筑波大学人文社会系教授 博士(学術)。専門は茶の湯を中心とした食文化と日本文学との影響関係。著書『『茶人のたしなみ 和歌俳句に学ぶ』(淡交社)『茶の湯ブンガク講座』(淡交社 )『西鶴の文芸と茶の湯』(思文閣出版 )『納豆のはなし-文豪が愛した納豆と日本人のくらし』(大修館書店 )ほか。第25回茶道文化学術奨励賞などを受賞。今日庵茶道教授(茶名 宗修)。裏千家淡交会巡回講師。

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