「水屋見舞いとは何か」についての説明はいまさら不要でしょうが、「“気の利いた”水屋見舞いとは何か」となると、なかなか難しいものです。
茶事にせよ茶会にせよ、当日に使用するようなものは、よほどのことでないと持参すべきではないとされています。井伊直弼が著した『茶湯一会集』には、花を持参する心得などが書かれているので、茶事の場合、よほど親しい間柄の場合には、「せっかくの珍しい花や菓子なのでご一緒に楽しみましょう」という意味合いで持参したことはあるようです。
茶事の場合には、お呼びになる亭主の方が、料理も良くなさるようでしたら、次の機会に使っていただけるように、上質の昆布や麩のような乾物類をお持ちになるのもよいでしょう。また家族構成もわかっているのであれば、お掃除などでご面倒をおかけしたのでお疲れを癒してください、とその労をねぎらう気持ちも込めて、高級チョコレートやケーキなどを持参するのも一案かもしれません。
茶会の場合は、水屋には水屋方が何人も詰めている場合が多いため、そちらで分けられるものを持参するのがよいとする考え方もあります。しかし、本来の「水屋見舞い」は席主への心遣いとしての贈り物です。その趣旨を忘れて水屋方への配慮だけを優先するのは、本末転倒のように思います。
大寄せ茶会の席主は、とにかく一日に何席も務めなくてはなりませんし、ことによっては昼食もままなりません。また前日から準備や緊張で寝不足で疲れている場合もあります。そうした席主に対する気遣いの分かる品を持っていくからこそ、まさに「水屋見舞い」の意味があるのではないでしょうか。そう考えると、たとえば、一般にフルーツは傷みやすく取り扱いにも手間がかかるため水屋見舞いには好ましくないとされていますけれども、カットされていて一口で食べられるカップ入りのものなどは席主が席の合間に口にできて都合がよろしいのではないかと思います。また、ゼリー状のスポーツ栄養補助飲料や一口で食べられるアイスクリームなども同じように使えるのではないでしょうか。もちろん、それだけを持参するのではなく、通常の水屋見舞いにプラスして、席主への分として別に添えると気が利いた水屋見舞いになると思います。
