風炉の初炭手前では、客は近くへ進んで炭を拝見しませんが、見ているときと同じように心を向けなさい、という教えです。
ちょっと解説
この一首は、風炉の初炭手前における、客の心持ちを教えています。
炉の初炭手前では、客は炉辺に寄り、炭のつぎ方を拝見します。一方、風炉の初炭手前では、客は拝見に出ません。風炉の置かれた位置にもよりますが、大勢が近くに寄ることで、美しく整えられた灰形を崩さないためでもあります。
それでも、自分の席から亭主の火箸の動きを見れば、どのように炭がつがれているかを想像することはできます。近くで見ていなくても、見ているつもりで心を向けることが大切です。なお、茶事では、後炭のときに風炉中を拝見します。
この一首は、目に見えるところだけでなく、見えないところにも心を配って席に臨む、客の心得を教えています。
利休百首に収められた和歌は、稽古の場や茶会の一瞬、そして日々の暮らしの中で、ふと立ち返るための言葉として詠まれてきました。一日一首、静かに言葉を味わいながら、自身の茶の湯の心と重ねてみてください。