
稲穂が実る頃、田には雀などの鳥もやってきます。丹精込めて育てた米を、刈り取りまで守るために使われてきたのが「鳴子(なるこ)」です。田に響くその音は、実りの季節の風景の一つとして、秋の季語にもなっています。
鳴子は、田畑の作物を、音で鳥や獣から守るための仕掛けです。小さな板に数本の短い竹筒を吊り下げたものを、長い縄にいくつも取り付け、田畑に張り渡します。縄の端を引くと、竹筒が板に当たって音を立て、作物を食べに来た鳥や獣を追い払います。
田を守る道具といえば、案山子(かかし)もおなじみです。人の姿に似せた案山子と、音を響かせる鳴子。身近な材料を使い、それぞれの方法で鳥を遠ざけようとする工夫がありました。
ちなみに、高知のよさこい祭りで踊り手が手にする道具も「鳴子」といいます。そのもとになったのも、田畑の鳥を追い払うための鳴子です。実りを守るための道具が、形を変え、祭りを彩る道具として親しまれています。
かつて秋の田に響いていた鳴子の音。そこには、大切に育てた稲を鳥や獣から守り、無事に収穫を迎えたいという願いが込められていました。
撮影:nijimi / PIXTA(ピクスタ)
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参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』(淡交社)
高知市『あかるいまち』2023年8月号「よさこい祭り 豆知識」