炭の置き方は、たとえ習いにそぐわないように見えても、湯がよくたぎるのであれば、それで炭としてはよい、という教えです。
ちょっと解説
この一首は、炭を置くうえで大切にすべきことを教えています。
炭の置き方には、習いとして定められた形や手順があります。しかし、炭を置く本来の目的は、火をおこし、湯を沸かすことです。たとえ置き方が習いと異なっていたとしても、火がよくおこり、湯がしっかりとたぎるのであれば、炭としての役目を果たしていると、この歌は説いています。
これは、決して習いや形を軽んじてよいということではありません。大切なのは、形だけにとらわれず、その所作が何のためにあるのかを理解することです。
この一首は、形の奥にある目的を見失わず、その場に応じて判断することの大切さを教えています。
利休百首に収められた和歌は、稽古の場や茶会の一瞬、そして日々の暮らしの中で、ふと立ち返るための言葉として詠まれてきました。一日一首、静かに言葉を味わいながら、自身の茶の湯の心と重ねてみてください。