
お盆が近づくと、胡瓜や茄子に割り箸や麻幹(おがら)などで脚を付けた「精霊馬(しょうりょううま)」を見かけることがあります。胡瓜で作った馬と、茄子で作った牛は、お盆に帰ってくる祖先の霊を迎え、送り出すための乗り物とされています。
一般には、胡瓜で作る馬は足が速いことから「少しでも早く家へ帰ってきてほしい」という願いを込めた迎えの乗り物、茄子で作る牛は「名残を惜しみながら、ゆっくりとあの世へ戻ってほしい」という送りの乗り物とされています。
精霊馬は「迎え馬」とも呼ばれる祖霊の乗り物で、ご先祖がこれに乗ってこの世とあの世を行き来すると考えられてきました。地域によっては、とうもろこしのひげをしっぽに、萩の葉を耳に見立てるなど、それぞれの土地ならではの工夫が施されます。
この風習は、祖先の霊を迎えて供養する盂蘭盆会(うらぼんえ)の習わしとともに受け継がれてきました。地域によって飾り方もさまざまで、藁や真菰(まこも)を敷いた精霊棚に供えるところもあります。
精霊馬は、日本人が大切に育んできたお盆の心を今に伝える、夏ならではのしつらえなのです。
撮影:fubar / PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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