
八月一日は「八朔(はっさく)」。もともとは「八月朔日(はちがつついたち)」の略で、旧暦八月一日を指す言葉です。稲が実り始めるこの頃、豊かな収穫を願い、日頃お世話になっている人へ感謝を伝える日として受け継がれてきました。
八朔の起源には諸説ありますが、「田の実節句(たのみのせっく)」に由来するともいわれます。早稲の初穂を主家へ献上し、その年の実りを祈る風習があり、「田の実」が「頼み」の音に通じることから、日頃の感謝と、変わらぬご厚誼を願う意味も込められるようになりました。
江戸時代には、武家や町人の間でも挨拶や贈り物を交わす日として広く定着しました。現在でも京都の花街では、芸妓や舞妓が師匠やお茶屋などへ挨拶回りをする風習が受け継がれています。その様子は毎年この時期になるとテレビや新聞でも取り上げられ、夏の京都を彩る風物詩として広く知られています。
茶の湯の世界でも、八朔は大切な節目の日です。各家元では、門人や出入りの職方をはじめとする関係者が正装で家元を訪れ、日頃の感謝を込めて挨拶を交わします。こうした八朔の挨拶は、茶の湯が人と人との信頼やご縁の上に成り立つ文化であることを改めて感じさせてくれます。
季節の節目に感謝を伝え、ご縁を大切にする心。忙しい日々の中だからこそ、日頃お世話になっている人へ感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。
撮影:すぎちゃん/ PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
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