
水の中をゆったりと泳ぐ金魚。見ているだけで涼やかな気持ちにさせてくれます。金魚は、風鈴や朝顔と並び、日本の夏を彩る代表的な風物詩です。
金魚の祖先は、中国で発見された赤いフナとされ、日本には室町時代の文亀二年(一五〇二)頃、中国から伝わったという説が有力です。
当初は大変貴重なもので、貴族や武家、富裕層だけが鑑賞できる特別な魚でした。
江戸時代中頃になると養殖技術が発達し、価格も手頃になったことで庶民へと広まりました。町には「金魚売り」が現れ、縁日では金魚すくいが人気を集めます。
また、涼を演出するために軒先へ金魚鉢を置く風習も生まれ、金魚は江戸の夏を象徴する存在となりました。当時は現在のようなガラス水槽はなく、陶器の鉢で上から眺めて鑑賞する「上見(うわみ)」が一般的だったといいます。
現在、日本有数の金魚の産地として知られる奈良県大和郡山市では、享保九年(一七二四)に柳澤吉里が甲斐国から入部したことをきっかけに金魚養殖が始まったと伝えられています。藩士の副業として広まり、明治以降は地域を代表する産業へと発展し、現在も全国有数の産地として知られています。
水の中を優雅に泳ぐ金魚の姿は、暑さの中でも、心に涼を楽しむゆとりを与えてくれます。
撮影:field_dream / PIXTA
参考文献
国立国会図書館「金魚の渡来と流行」
大和郡山市「金魚の歴史」