涼風至(すずかぜいたる)|涼しい風が吹き始めるころ

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八月七日ごろから七十二候は「涼風至(すずかぜいたる)」。立秋の初候にあたり、暑さの中にも秋を思わせる涼しい風が吹き始める頃を表しています。

「立秋」と聞いても、実際にはまだまだ厳しい残暑が続きます。しかし、朝夕に吹く風や木陰を渡る風にふと涼しさを感じ、「季節が少し動いた」と気づく瞬間があります。七十二候は、そんなわずかな自然の変化を捉えた暦です。

日本では古くから、風は季節を知らせるものとして捉えられてきました。その感覚は、『古今和歌集』に収められた藤原敏行の一首にもよく表れています。

 

秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる

 

この歌は、「秋はまだ目にははっきりと見えないけれど、風の音によってその訪れに気づいた」という意味です。木々の色づきよりも先に、風が季節の変化を知らせてくれるという感覚は、「涼風至」が伝える世界そのものといえるでしょう。

暑さが続く日々だからこそ、ふと頬をなでる風の心地よさが一層鮮やかに感じられます。「涼風至」は、目には見えない風によって季節の移ろいを知らせてくれる、七十二候らしい繊細な言葉です。

 

撮影:雄太 / PIXTA

参考文献

茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
公益社団法人 関西吟詩文化協会

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