簾|風と光を招く夏のしつらえ

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七月も終わりに近づき、厳しい暑さが続く頃。軒先や窓辺に掛けられた「簾(すだれ)」が、強い日差しをやわらげ、風を招く涼やかな空間をつくります。

簾は、竹や葦などを細く割り、糸で編んで作られた調度です。外からの光や視線をほどよく遮りながら、風を通すことができるため、古くから夏の暮らしに取り入れられてきました。簾越しに差し込む柔らかな光は、室内に美しい陰影を生み、涼やかな趣をもたらします。

茶の湯でも、簾は夏を代表するしつらえの一つです。稽古場では、襖を簾に替えて風が通り抜けるような開放感を演出することも少なくありません。また、正式な茶事では、初座に連子窓や下地窓へ簾を掛け、室内をやや暗く整えて客を迎えます。そして後座では、客の席入り後に簾を巻き上げ、光を取り入れる趣向が用いられることもあります。光の移ろいによって一座の空気を変化させることも、茶の湯ならではのもてなしの一つです。

簾に用いられる良質な葦は、かつて琵琶湖畔をはじめとする限られた産地で育まれてきました。しかし近年は自然環境の変化などにより、国産の良質な葦を確保することが難しくなっています。一本一本の葦を吟味し、丁寧に編み上げられた簾には、自然の恵みと職人の確かな技が息づいています。

風を招き、光を和らげ、陰影を生み出す簾。そこには、日本人が古くから育んできた涼を楽しむ知恵と、茶の湯が大切にしてきた美意識が表れています。

 

撮影:ジオスタジオ/ PIXTA

参考文献

茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
「茶の匠『簾』」『淡交』平成11年7月号 淡交社(絶版)

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