
六月も後半に差し掛かると、山々の緑は若葉の明るい色合いから、いっそう濃さを増していきます。
「山滴る(やましたたる)」は、中国宋代の画家・郭熙の画論をまとめた『林泉高致(りんせんこうち)』の「夏山蒼翠而如滴(夏山蒼翠として滴るが如し)」に由来する言葉です。青々と茂る夏山の姿を、緑が滴るほど豊かであるとたとえています。
木々の葉が幾重にも重なり、梅雨の雨を受けて艶を増した緑が山を覆う。まさにこの時期の山の姿にふさわしい言葉です。
その言葉からは、目に映る緑の濃さだけでなく、湿り気を含んだ空気や、山に満ちる生命の力強さまでも感じられます。
梅雨の雨は、ときに外出をためらわせるものですが、その雨によって草木は育ち、山の緑はいっそう深まっていきます。「山滴る」という言葉は、そんな夏ならではの豊かな自然の姿を伝えています。
撮影:横浜キッド/ PIXTA
参考文献
『茶趣をひろげる 歳時記百科』淡交社
『二十四節気で親しむ 茶の湯の銘』淡交社
『林泉高致』(郭熙 著・郭思 編)
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