濃茶を点てるときには、点前の形にとらわれすぎず、ただひたすらに茶の練り具合と息の整え方に心を向けなさい。
ちょっと解説
この一首は、薄茶とは異なる「濃茶の服加減」への向き合い方を示しています。 濃茶では、まず服加減が何より大切になります。だからこそ、「点前を捨てて」とあるように、形に気を取られすぎず、一碗の濃茶を練ることに心を集中させよ、と説いています。 もちろん、これは点前を軽んじるという意味ではありません。日頃の稽古によって身に付けた所作を土台としたうえで、余計なことに気を散らさず、茶の練り具合と呼吸に意識を向ける、ということです。 「息を散らすな」とあるように、呼吸が乱れれば、手元も乱れ、濃茶の服加減にも影響します。静かに呼吸を整えながら、一碗に向き合う。濃茶を練るときの大切な心得を表した一首です。
利休百首に収められた和歌は、稽古の場や茶会の一瞬、そして日々の暮らしの中で、ふと立ち返るための言葉として詠まれてきました。一日一首、静かに言葉を味わいながら、自身の茶の湯の心と重ねてみてください。