前回のお稽古で「茶事亭主」という重大な任務を仰せつかったばかり。早速、その準備に取り掛かることになりました。
まずは「初炭手前」のお稽古です。茶事のメインイベントとなる濃茶点前の前に、亭主は炭で釜の湯を沸かします。家で湯を沸かす時はコンロの火や電気ポットを使いますが、ここでは大小、太細、さまざまな形の炭を組み、その上に釜をかけます。確かに、炭火でじっくり焼いた肉の味は甘みがあって、とろけるように美味しい。釜の湯もきっと、炭でゆっくり沸いていく方が美味しくなるのかもしれませんね。炭の置き方で湯加減が左右されるということなので、美味しいお茶を点てるためには、亭主が手順よく炭で火をおこし、釜の底にまんべんなく火気があたるように炭の準備をします。
先生に教わりながら、まずは「炭斗」と呼ばれるカゴに炭を仕込んでいきました。枕の役割を担う割毬打(わりぎっちょ)、他の炭の支えとなる丸管炭(まるくだずみ)。丸管炭に寄りかかる、丸毬打(まるぎっちょ)と割毬打。思わず「ちゃん付け」したくなる、可愛らしいネーミングです。最後の「止め炭」となる点炭(てんずみ)を立てかけ、上に主役の胴炭(どうずみ)をデデデーンとのせる。全体を見ると、まるで胴炭を担ぐ神輿のようなレイアウトです。横には、香合を乗せる香合台と、白い枝炭が配置され、火箸、鐶、羽箒と、炭手前に必要な道具が収められます。さらに、香合の中に入れるお香として、炉の時期は練香(ねりこう)を準備します。丸いお香を三粒手に取り、クネクネ練り合わせながらピラミッドのような形を作っていきました。これを香合に収め、炭斗の準備が全て整いました。

今度は灰器に湿し灰を入れ、そこに灰匙(はいさじ)を立てます。この湿し灰は真夏の炎天下で、社中の皆さんが育てた灰です。汗と涙で湿った灰……ではなく、灰汁取りを繰り返した灰を敷物の上に広げて番茶をかけ、よく揉み混ぜながら、かんかん照りのお日さまに乾かしてもらいます。私もおやつのかき氷に釣られて何度か参加しましたが、炎天下での作業は修行でした。
最後に釜の下に敷く紙釜敷を懐中し、すべての道具が整った時点で、私の頭の中は釜の湯よりも先にポッポポッポ沸いていました。

この日の掛け軸には「直心是道場」の言葉。
私たちはいつでも、どこでも修行中の身です。素直な心で、新しいチャレンジにもどんどん立ち向かっていこうと思います。
お稽古帰り、茶の湯ノートを一冊購入しました。

撮影:北見宗雅、はな
